捕獲器を設置してから1ヵ月半経ちましたが、わんちゃんたち一向に入らず。
先に保護した子犬の匂いがついたトイレシートやおもちゃなども捕獲器の中に入れてみましたが
まったく反応なし。
普段は近隣の方にお任せして、週に一度ほど私も山に通って餌替えや捜索をしていました。
近況まとめ報告です。
* * *
私は山が好きなので、秋の山歩きは気持ちいい~

いつも会うクモ(のうちの1匹)。元気そう。
犬の気配を求めて木々の中をうろうろしていると、なんと!?展望台に到着。

こんなところあったのね。
展望台には他のお客さんもいましたが、道のないところからこの場所に到着したのは私ぐらいだろう・・・。
犬を目撃していないか聞いてみたけど情報なし。
山の中を歩いていて、ガサガサっという音がして犬が逃げていく気配を感じたこともありました。
でも地の利は向こうにあります。
ほふく前進で枝の間を這って追いかけても、これでは遅すぎる・・・
挙句の果てにその途中でケータイを落として、また同じルートをほふく前進で探しながら戻るということもありました。
何の訓練やねん!
山を越えて向こうの集落のお宅に、聞き込み調査に行くことに。
気持ち良く応対してくれる奥さん、そこで判明した事実。
なんと、小さいころは旦那さんが餌をあげてくれていたらしいです!
どうりで痩せてないと思った・・・でも、最近はもう見かけなくなってしまったとか。
私が先に4匹を捕獲したから警戒したのかもしれません。
中学生くらいの息子さんが、子犬が産まれた場所を知っているというので案内してもらいました。
山の上の造成地、土が積まれて崖のようになっているその斜面に、
以前は穴のような凹みがあり、そこで母犬は6匹を産んだのだそうです。
一度大きな嵐が来て、その穴はもうなくなってしまったとか。
お母さん、子育てがんばったんだね。
* * *
そうこうして、犬たちは捕獲器に入らないまま、
秋からもう冬になろうとしています。
11月の始め、山のふもとで子犬2匹がくっついて寝ているのを見かけました。

でも近づくと一目散に逃げていきます。
子犬は元気で生きてくれているだけでもいいのですが、母犬の姿は全く見ません。
どこへ行ってしまったんだろう・・・。
またある日、私の携帯電話に岡山市の森林管理署から電話がありました。
見回り作業の途中に捕獲器を見つけて、電話番号を貼ってある紙を見て電話したらしく、
「あそこは国有林なんですけど・・・」と、
こちらの出方をうかがうような、でもどこか不快そうな職員さんの声。
「わたくし動物ボランティアをやっていまして、近隣住民の方には許可をいただいて捕獲器を置いています。」
と説明すると、ああ~そうなんですか、それじゃあいいんです、みたいな返答。
職員 「犬は入りますか?」
私 「いやーそれが全然入ってくれなくて」
勝手にこんなもの置いて、と最初は怪しんでいた職員さんの態度も変わり、優しくなりました。
国有林と言っても、国だって普段は放置なんですから、
近所の人がOKなら何も言うことはない、というかんじなのでしょうか。
* * *
方針を変えようと思ったのは、11月17日のことでした。
雨。
捕獲器チェックに行くと、中に入れたシーツやおもちゃも濡れてぐちゃぐちゃ、
ブルーシートには水がたまっていました。
こんなものに果たして犬が入るのだろうか・・・
1ヵ月以上も置いていてスルーされるというのは、やっぱりこうも人工的なものを
自然で生きている犬が利用するわけがないのだという気がしてきました。
念のため11月始めに2匹がいた場所を見に行きました。
すると・・・・・
やっぱりいました(*^_^*)

かわいい子犬ちゃんが1匹。
遠くから慎重深くこちらを見つめる犬。
近づくと逃げるのがわかっているので、距離を保ったまましばらくじっとしていました。
おいで。 って言ってもくるわけないよなあ。
寒くない? いや、寒いに決まってるよなあ。
おなかすいてない? でもけっこう肥えてるよなあ・・・??
近所の人がいたので挨拶して、最近の様子を聞いてみました。
それからパンを持ってきてくれて、子犬のほうに投げてくれました。
子犬は警戒しながらもパクパクっと食べました。
その人には少し慣れているようで、時間をかけると手から直接パンを食べるほどに!
触ろうとするとぴゅーっと走って逃げていきますが・・・。

回を重ね、時間をかけて交流していると、人間同士の距離もまた、縮まります。
この日はいろいろ貴重な話を聞くことができました。
子犬2匹はいつも夕方に山から下りてくること。
かわいく思い、食べ物をあげてくれていること。
(どうりで痩せてないと思った^^; )子犬2匹は体格差があり、小さいほうはその場にとどまって食べるが、大きい方はくわえてどこかに去ってしまうこと。
触ることはまだできない段階だけど、餌付けが順調にいっていること。
そして、毎日山から下りてくるはずの子犬たちが、3日間ほど姿を見せない日があったこと。
思い返せば、それは森林管理署の人から電話があった日のあたりかもしれない、と思いました。
職員さんたちは山で何か作業をして帰ったとか。
あるいは私が何時間も山歩きをした日のあたりかもしれません。
見知らぬ人が山を歩くと、犬たちは警戒して遠のいてしまうということでした。
私が捕獲器など置いて中に入るのを待っている間に、近所の人がこっそり餌付けしてくれていた・・・。
捕獲器はむしろその餌付けを邪魔していたかもしれません。
下手に犬のテリトリーをごそごそと動き回って警戒させて、
犬たちを里から遠ざけていたかもしれないと反省しました。
しかも野犬への餌付け・・・近所の目もあり堂々とやるわけにはいかないので
あくまで内緒に、隠れて餌付けの努力をされていて、肩身のせまい思いをされているようでした。
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ここに一つ問題があると思いました。
捕獲器を置くにあたって、餌をやっている人がいないかのリサーチをします。
餌をもらっていれば犬はおなかがすきませんから、捕獲器になんか入るわけがないからです。
最初に近所に方にはある程度そのリサーチをしたつもりでしたが、
よくよく考えてみると、「はい、私が餌をやっています!」なんて手をあげる人がいるわけがないのです。
野良犬や野良猫への餌付け。
それは社会的に許されない行為だというような概念が浸透してしまっているからです。
今回野犬の捕獲に携わってみて思ったことですが・・・
犬や猫って、そんなにバカじゃないので、すぐに捕獲できるわけじゃないです。
もし強引に力づくで捕まえたとしても、その時に味わった恐怖や人間への不信感は、
その子にとって一生の心の傷になるかもしれません。
そんな中で残された手段は餌付けしかないです。
野良猫問題にも通ずる問題で重要なことなのですが、
私が常々思っているのは、
野良犬や野良猫に餌付け禁止って、いつの時代の話ですか?ということです。
犬や猫って、「愛玩動物」というくくりなので、たとえ野良ちゃんでも
故意に餌をやらないで餓死をうながしたりすると違法なんですよー、ほんとは。
犬猫がキライな人にも、もう昔みたいに「駆除」することはできない時代になったのだという事を理解してもらって、
繁殖を防ぐ方法や、人間との住み分けを真剣に考えてもらわなければどうしようもないです。
野良犬・野良猫への適切な餌やりはOK。
そのことが浸透してくれれば、捕獲もしやすくなり、動物が好きな人にも嫌いな人も、良い結果をもたらします。
だからお願いしたいのは、野良ちゃんに餌やりをしている人を責めずに目的をちゃんと聞いて理解してほしいということ、
それから、餌やりする側の人は、近所への説明や掃除なども含めて適切な餌やりをしてほしいということです。
正当な目的で適切に餌やりする人がこそこそしないでいいよう、地域の中で良い循環を作っていってほしいです。* * *

パンを持っておいでおいでと一生懸命、子犬に声をかけている人と、
怯えながらもその人の手からパンを食べた子犬。
その姿を見ていて私の中で自然と結論は出てきました。
山の捕獲器は、関わってくれているボランティア仲間さんともこれから相談して、
そのうち撤去する方向で考えたいと思っています。
山歩きもすこし控えようかと思います。
保護のために今必要なのは、特定の人間にしぼって犬と信頼関係を築くこと。
・・・のような気がしています。
たまに行くだけの人間は、よっぽど気をつけないとその邪魔をしてしまうかもしれないので、
今後はその近所の人にリードしてもらい(あくまでこっそりですが・・・)
私はフードの差し入れなどでバックアップできたらと思っています。
地域の人と連携しているつもりが、うまくできていなかったという事実。
犬にとって良い事、その地域にとって良い事・・・トータルで考えて今必要とされていること。
一番成果が上がりやすい方法は何か。時間をかけて見えてきた事情がありました。
テーマ:動物保護
ジャンル:福祉・ボランティア