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2012.07.22 23:21|ボランティア活動
ひとつの小さな命と向き合った30日の記録。伝染性腹膜炎 (FIP)と闘う猫と人のために。


*-*-*-*-*-*-*-*- *-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-

→ はじめに… 命を看取るということ
「今から思えば、あの時私は、すべてをきれいに終わらせる事ばかり考えていたんです。」

→ 看護日記(1) 『 不安の1週間 』
「生かすための看護ではなく、看取るための看護って、こんなにむなしいものなんだ」

→ 看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』
「もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。」

→ 看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
「今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。」

→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」

→ まとめ(仮) (準備中)

*-*-*-*-*-*-*-*- *-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-





看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』


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6月22日(金)

朝方、カリカリを食べる音が聞こえた。
起きて見てみると、ロイヤルカナンのキトンのほうが減っている。
モンプチかつおだけでなく、ロイヤルカナンを食べてくれたのが嬉しかった。

通院。
今日は寝坊した上に、先客あり。
さらにレントゲンを撮るので遅刻するかと思ったが、
先生がスピーディーにしてくれたおかげで時間的には余裕だった。

レントゲンの結果、水曜にレントゲン撮った時より胸水が増えているので、
点滴は中止することに。
自分ですこしは飲食できるなら、点滴までして胸水を増やすことはない。

昨日噛まれた右手、痛みは少なくなったが、腫れと熱と赤みがひどくなっている。
昨夜は手首の血管にほんの少しかかるくらいの広がりだったが、
今日はもうすこし手首を進んで、赤みと腫れがのぼってきている。
だいじょぶかな。





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6月23日(土)

休みの日なので少しゆっくりめの通院。

レントゲンを撮る。
胸水は少し増えているが、まだ抜くほどではない。
明日は日曜日、本来なら休診日だが、先生はヒーローの治療に対応してくれると言う。
17~18時ごろに通院することになった。

ヒーローは今日はなんだか少し元気がない気がした。
食欲は昨日より弱い。
パウチにまたたびの粉を少量ふりかけると、少し口にしてくれた。

夜寝るとき、いつもならふとんでいっしょに寝るのに、
今日は自分のベッドにずっといた。

噛まれた右手は、今日はもう治りかけている。






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6月24日(日)

朝方、ヒーローの動く音で目が覚める。
トイレに向かっていき、しばらくして帰ってくる。
おむつをチェックしてみると、おしっこ&うんちも。
やっと出た。

2012-06-24 00.16.41

今日はシェルターの日なのに、疲れていて寝坊した。
慌てて向かう。
ヒーローの部屋に、成猫が移動していた。
もうほんとに帰る場所がないんだな。

帰宅。
体がだるく、眠気がすごい。いつの間にか寝ていた。
17時半、病院にこれから行くと電話すると、18時から急用が入ったので、
できるだけ早く来てくださいと言う。
バタバタと行くと、こちら都合ですいませんと、申し訳なさそうに先生。

ヒーロー、今日も少し元気弱い気がする。
食欲もない。

帰りにお気に入りの自然食品店の閉店セールに寄る。
目当てのせっけんハミガキは売り切れ。
新店舗の商品取り扱いについて質問しても、あやふやな返事。
モヤモヤして帰る。

2012-06-24 00.20.20


この日、ささいなことから旦那さんと大変なケンカになってしまった。
ふとんに入るとすぐに意識を失い、やっと長い1日を終えることができた。
最低な日だった。






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6月25日(月)

疲れがピークで、昨日のケンカもあり、朝なかなか起きられなかった。
体が重く、頭がぐらぐらする。

病院。
レントゲンを撮ると、土曜に撮ったときと、ほぼ変わりない量の胸水だった。
まだ抜かなくていい。
食欲ないのが気になる。

同じ病院に入院中の、ある子猫が亡くなった。

お別れをするために会わせてもらった。
ダンボールに入った子猫を見て、悲しくなった。

ヒーローの通院の時に、ほぼ毎日顔を見ていたのに、
触ったり抱いたりしてやれなかった。
入院の金属ケージの中でひとりぼっち、すごくさみしかっただろう。
小さな体で一人がんばっていた子猫、
亡くなるとわかっていたら、ケージから出して抱いて撫でてやればよかった。
今となってはもうできない。
そのことが悔やまれる。

あらためて、治療とあきらめの判断や、猫にとっての幸せを考えさせられた。
ヒーローが亡くなる時は、
どうしてやればいいだろうか。






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6月26日(火)

ヒーローのうんちあり。

今日でインターフェロン終了。
明日、血液検査してみることに。
良くなっていればいいが、黄疸がなくなっている様子はない。
やっぱり治癒は難しいのか。






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6月27日(水)

朝、ヒーローは昨日までより元気がないようだった。
ふとんの上でごろんとなって、あまり動きたくなさそう。

病院で待っている間、ヒーローの右目の上の血管が赤くなっているのに気付いた。
頭の上にかけて赤く充血した皮膚がつづく。
首のうしろの毛をかけわけてみると、そのあたりまで、血管にそって赤くなっているようだ。
これはなんだろう?
背中の皮膚は毎日注射をしているせいで真っ赤っかだが、その場所とは離れている。


インターフェロンの効果をしらべる血液検査。
足に針を指すが、なかなか血が出てこない。
ヒーローはぐったりしている。

結果は、残念なものだった。
黄疸を表す数値がひどくなっている。
赤血球も白血球も極度に少ない。

もう自力で血液をつくれていないらしい。
他の数値も軒並み悪い。
今生きているのが不思議なくらいの数値らしい。

【6/27 血液検査の結果】

項目今回数値正常範囲増加なら・・・減少なら・・・
GLU11841~153糖尿病・ストレス・クッシング症肝不全・新生児低血糖・過剰な運動・飢餓・インスリノーマ
BUN

29

12~41腎機能低下・消化管内出血・高たんぱく食・尿路閉塞肝不全・肝硬変・多飲多尿
Cre1.10.7~2.5慢性腎不全・筋炎・溶血筋肉減少・妊娠
T-bil7.5<0.4溶血・肝細胞壊死・胆汁鬱滞・胆管炎・肝炎・門派シャント 
T-chol220<224食事性・クッシング症・糖尿病・甲状腺機能低下症・胆汁鬱滞肝不全
GOT61<45肝不全・筋炎肝硬変
GPT15<86肝不全・膵炎・創傷・腫瘍肝硬変
ALP<13040~234胆管炎・腫瘍・内分泌疾患・ステロイド投与・ストレス 
TP6.06.0~9.7脱水・高脂血症・腫瘍消化吸収障害・肝不全・腎不全・飢餓・出血・過剰輸液
WBC1855~195細菌感染・炎症・腫瘍・白血病・ストレス・ステロイド投与ウイルス性疾患・急性細菌感染・中毒
RBC289550~1000脱水・多血症貧血・中毒
HGB4.58~14脱水・多血症貧血・中毒
Ht12.224~45脱水・多血症貧血・中毒



インターフェロン、ステロイド、ともに中止。
明日からは、治癒目的ではなく、できるだけヒーローが楽になれるよう
ビタミン入り点滴のみの投与をすることに。

今月中もつかどうか、と言われた。


今月って、あと3日だ。
ショックだった。

帰りの車の中で涙が流れる。
ボラ仲間さんに報告、一斉送信のお願い。
土曜日までヒーローががんばってくれたら、みんなに会いにシェルターに連れて行こう。

仕事中、置いてきたヒーローがどうなっているかと気になり、そわそわしていた。

定時になると急いで帰宅。
ヒーロー無事。
キャリーに閉じこもっていた。
トイレの手前のシートにおしっこがあるので、
朝からずっと閉じこもりきりというわけではなさそうだ。

2012-06-27 20.45.26


今日からは、少しでも長くいっしょにいてあげようと思う。
自宅の猫3匹には、かまってやれなくて申し訳ないと思う。
ごはんをあげて、すぐに2Fヒロ部屋に上がった。
今だけ、ごめんね。

ヒロ部屋でいっしょにごはんを食べる。
といってもヒーローは一切口をつけない。
私が食べているのを見たら、ヒーローもつられるかなと思ったが、
そうはいかなかった。

お風呂をすませて、すぐにヒロ部屋にもどる。
今度はケージではなくねこハウスに入っていた。
やはり閉じこもりたいのか。

2012-06-27 21.48.44

寝るとき、そばに寄ってきた。
こんなにきれいな猫が、もうすぐ死んでしまうなんて。
いっしょに寝そべって、しんみりしていた。

2012-06-27 22.03.59

2012-06-27 22.05.54


そしたら少し驚くことが起こった。

私がうつぶせで、左腕でヒーローを抱きかかえるように腕を回していたときのこと。
ヒーローが突然、左手で、私の回している左手をがしっと掴み、自分のほうへ引き寄せた。
そしてその上に、アゴをのせ・・・満足げに目を閉じた。

2012-06-27 22.06.36


私は思わず笑ってしまった。
なにそれー。
最初は子供を見るように、かわいく思った。

でも逆になんだか、変な話だが、「男気」のようなものも感じた。
「泣くなって、オレはまだ死んでねーよ」
そう言っているような気もした。
それくらい、がっしり力強く、掴んで引き寄せられたのだ。

辛いのはヒーローのほうなのに、その病気の猫に励まされ、
守られているような不思議な感覚があった。


2012-06-27 22.08.30


そのあとも写真を撮ったり話しかけたりするが、私もいろいろ重なり、疲れて眠い。
いつの間にか気を失っていた。






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6月28日(木)

朝方、何度か目が覚めた。
ヒーローは、私のそばにはいず、見るたびに位置が変わっている。
最終的には、足元に置いていた、たたんだ毛布の上に陣取っていた。

病院で、点滴。
ヒーローは昨日よりもさらに悪くなっているように見えた。
針を指すときも、あまり抵抗しない。
でも点滴の最中には、何度か嫌がって動いた。

今日からは車で通勤する。
昼休みに様子を見に帰らないと、いつどうなるかわからないし、
日中ずっと一人ぼっちで、さみしい思いをさせたくない。

昼休み、自宅に帰る。
ヒーローは息が苦しそうに見えた。
昼ごはんをヒーローの部屋で急いで食べる。
1時間の昼休みでは、いっしょにいる時間はほとんどない。
こんなときに限って仕事が多く休めない、タイミングの悪さを呪った。
そして自分が情けなくなった。

夜21時ごろに帰宅。
ヒーローの様子がおかしい。
昼よりさらに息が苦しそうだった。

息をするたびに鼻からフー、グウー、という音が鳴り続け、口が開いていた。
水色のベッドに寝かせてやり様子を見る。

2012-06-28 20.58.23


やはり早急に胸水を抜くべきかもしれないと思い、病院に留守電を入れる。
30分たっても折り返しがない。もしやと思いもう1度電話をかけて確かめる。
やはり最後の#を押していなかった。なにをしているんだか。
あらためて留守電を入れると10分後に折り返し。

先生的には、血液検査の結果がひどかったので、苦しいのは胸水とは限らないという。
抜いても良くならない可能性もあり、また抜くことで痛みとストレスにより
その場で亡くなる可能性も否定できない
という。
ボラ仲間さんに電話で相談。
話しているうちに、自分がすでに病院に行く気になっていることに気付く。
そのほうが、より後悔が少ない気がした。
ベッドでぐったりしているヒーローをそのまま抱きかかえ、助手席に乗せた。

22時20分ごろ病院に到着。
抜くことでどうなるかわからない、という事を念押しされ、
覚悟を決めて処置を開始する。
エコーで見て毛をそり、針を刺して抜き始める。
ヒーローは苦しそうにしていて抵抗はない。

血のような真っ赤な液体が出てきてびっくりする。
まさか血を抜いているんじゃないだろうかと一瞬そわそわして先生を見る。
黄疸が進むと胸水も色が濃くなり、最終的にはそういう色になるのだとか。
真っ赤な液体を100mlほど抜いた。

直後、ヒーローはすこし呼吸が楽になったように見えたが、
以前抜いたときと比べて、劇的な変化はなく、まだ少し苦しそうだった。
少しはマシになったのだろうと安心して、先生に時間外のお詫びとお礼を言って病院をあとにする。

病院から出るときもヒーローはベッドに寝たまま、鳴き続けている。
元気になった証拠かな、それともまだ苦しいのかな、と考えながら助手席に乗せる。




そして車を走らせてまもなく、それが起こった。

大きな交差点を左に曲がり、ひとつめの坂を越えたあたりで、
突然ヒーローが大きな声で叫んだ。

びっくりしてヒーローを見ると、何かを訴えるようにこちらを見て、
鳴きながら体をよじらせている。
あわてて車を路肩に寄せ、止まる。
ヒーロー!ヒーロー!と名前を呼んで助手席に置いたまま抱くようにかがみこむ。

間もなく、終わりが始まったと私は気付いた。

最期はもっと暗くて静かな場所で、しっかり抱いてやって看取りたい。
そう思ってまた車を走らせた。
さっきより少し落ち着いている。
急げ、急げ。家まで間にあうかもしれない。
そう祈りながら、スピードをあげる。

右折して川沿いの道に入ったころから、またヒーローの様子が変わった。
苦しそうにもがいたり鳴いていたのはおさまっていたが、
今度はやけに静かになり、目がうつろになって遠くを見ていた。
鼻の奥で破裂音のような、詰まっているものが通って突き抜けるような小さな音が
パツンッ!パツンッ!と断続的に鳴った。

体が停止しようとしている。
もうだめか。
また車を止めた。
どうしていいかわからず名前を呼び続けた。
また走り出した。
左手はヒーローの体に置いていた。

家に向かって走っている最中に、ヒーローは完全に静かになった。

自分が何をやっているのかわかっていなかった。
ただその場その場の判断で動いただけだ。


結果的にヒーローの最期を、抱いて看取ってやることはできなかった。
泣きながら走った。




家に着き、ベッドごと抱きかかえて玄関の前に立つ。
よっちゃんが出そうなので、いったんヒーローを玄関外の床に置いて家に入らなければならなかった。
亡くなったばかりの遺体を1分でも外に放置することは忍びなかった。
猫たちをリビングに入れて扉を閉めてから、ヒーローを迎えに出て、そのまま2Fに上がった。

明るい部屋でヒーローをしっかり見ると、本当に事切れている。
きれいに目を開けて、切なそうにこちらを見続けていた。
もう遅いが、抱き上げて体に寄せ、しっかり抱きしめてやる。
まだ温かいのに、だらんとした重みが、私の胸に突き刺さる。
やっと死を実感し、泣いた。

2回目に車を止めた時、そのまま抱いて看取ってやればよかった。
自分の判断力のなさ、経験のなさが、ふがいなかくて、心の中で詫びた。

ベッドに寝かせ、姿勢をととのえてやる。
息を引き取った時と同じように、左を下にして寝かせる。
腕は自然とクロスして、手首は重力に従いゆるかやに曲がってかわいいポーズになった。
開いたままの目がきれいだったので、しばらくぼーっと眺めていた。
時計を見ると、23時30分ごろだった。

ボラ仲間さんに電話。
先生の言われたとおりになった、処置をしたことで体への負担がかかり急逝したのだろうと報告した。
でも精一杯やったのだから、ヒーローも感謝していると、涙声で、なぐさめてくれた。
別のボラ仲間さんに一斉送信のお願いメールを送った。

時間をかけて目を閉じてやる。
その間に少しずつ体は硬くなっていった。
まだ柔らかいにくきゅうを触ったり、生前のように、麻痺した右足をさすってみたりしているうちに、
気持ちが落ち着き、いったん部屋を出た。

旦那さん帰宅、報告。
いっしょに2Fにあがり、ヒーローに会う。
さっきより硬直が進んでいた。
私はまだぼーっとしていたが、保冷しないといけないと旦那さんが言ってくれ、気づいて保冷を始める。
部屋を片付けるなら手伝おうかと言ってくれるが、まだいいと断る。
保冷剤と氷をベッドの中に置き、ナイロン袋でベッドごと覆う。
ヒーローの顔は半透明のナイロンに遮られて、もやがかかったようにぼんやりと見えた。
寝室に移動し、冷房をつけた。

その日はヒーローと寝る最後の日となった。






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6月29日(金)

朝、シェルターにヒーローを安置しに行き、
そのまま車で仕事へ。

やはり気持ちは沈んでいた。
仕事中何回か、ふとした時に涙が出そうになり、トイレに行って泣いた。

ヒーローの送り方は、火葬に決めた。
自分で葬儀場に予約を入れ、一斉送信してもらう。

夜22時ごろ、シェルターに様子を見に行く。
ヒーローと2人の時間を過ごそうと、夜食とノンアルコールビールを買っていった。

ヒーローはたくさんの花に囲まれていた。
みんなお別れにきてくれたようだ。
私が着いて間もなくして、ボラ仲間さんも仕事終わりで来てくれた。
会社の花壇からもらったというお花を持ってきてくれた。

ノンアルコールビールはそのボラ仲間さんと2人で、ヒーローのお通夜のように分かちあうことになった。
亡くなったときの話や、埋葬の事などを話して飲んだ。
それからシェルターをひととおり見回ってから帰った。

今日、私は、いたって冷静だった。
たまに涙がにじんだりはするが、特に気持ちが大きく乱れるということもなかった。
きっと看病してきたから、覚悟ができていたんだろう。

それにヒーローは、麻痺して思うように動かなかった体、病気で苦しかった体から
やっと解放されたんだ。


虹の橋。
その話が強く影響していると思う。
私は知らず知らずのうちに、魂と体を切り離して考えるようになっていた。
だから火葬も受け入れることにしたんだ。


2012-06-29 22.16.09




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6月30日(土)

朝、シェルターにヒーローを迎えに行く。
ボラ仲間さんが、送る用の箱を手作りして持ってきてくれていた。
2人で箱に花を入れ、ヒーローを飾ってあげた。

葬儀場までボラ仲間さんのあとをついていくことにした。
いつものように、ヒーローを助手席に乗せて出発する。
車に乗せるとうるさいほど鳴いていた、もうあの鳴き声は聞こえない。

葬儀場に行く道中、ずっと片手で運転していた。
本当に最後だから、ずっと触っていたかった。
亡くなった夜、抱いてやれなかったし、ずっと触り続けてやれなかったから、
今日くらいはずっとずっと手を触れていたかった。

ヒーローはもう冷たいけれど、まだフサフサだった。

さすがに悲しかった。
本当に滝のように涙が流れて滴った。
葬儀場に着くまでずっと、止むことのない涙を静かに流し続けた。
もうすぐ、このフサフサの毛を触ったり、匂いをかいだり、足をマッサージしたり、
できなくなるんだ。

到着すると、ボラ仲間さんが3人も来てくれていた。
みんな私にねぎらいの言葉をかけてくれた。
一人は自宅から摘んできてくれたという花を、ヒーローの顔のそばに入れてくれた。
もう1人あとから到着して、いっしょに行った人も私も入れて6人で送ることになった。

簡単な葬儀のようなものがあり、順番に線香をあげる。
葉っぱで水をすくい、口元をしめらせてあげる儀式も。
ごはんを持たせてやる事を知らなかったので、葬儀場に用意してもらう。
ヒーローが好きだったかつおぶしと、モンプチをお弁当に持たせてあげた。

そのあと火葬へ。
最後のお別れをして、みんなで合掌して見送る。
扉が閉まる瞬間は、やはり見ることができなかった。

およそ40分で終わり、収骨に向かう。
骨は思っていたより粉々になっていた。
そして、骨を見てもそれほどつらくはなかった。
病気治療などで薬品が残っている場所は青く残ると言う。
ヒーローは背中のあたりが水色になっていた。
毎日、背中に注射をがんばっていたもんね。

みんなで骨を拾って骨壷に入れていく。
最後に残った小さな骨のかけらまで、ハケでさらって入れる。
その途中に歯を見つけた。それは壺には入れず、もらって帰ることにした。

帰りはボラ仲間さんといっしょだったおかげで、落ち込まずにすんだ。
でも送り届けたあと、一人で運転を再開するとやっぱりつらかった。

骨壷を見ると、かなりこたえた。
2日前までは動いていたヒーローが、急に動かなくなった。
さっきまでフサフサだったヒーローが、今はこんな小さな姿になってしまった。

持つとカチャカチャと乾いた音を立てる陶器に、ヒーローの姿を重ねることはできなかった。
ヒーローはどこへ行ってしまったんだろう。

家に着いてリビングのテーブルにヒーローを置くと、どっと感情が押し寄せてきた。
骨壷を抱いて、わんわん泣いた。

そのあと気を取り直して、水をあげ、
ヒーローの写真を印刷して、骨壷にセットしたり、写真立てに入れたりした。
写真の選定と加工にはずいぶん時間をかけた。
陶器の音が嫌なので、蓋にクッションをはさんだ。

2Fの元いた部屋に、ヒーローの場所をセッティングした。
1週間前に買ったばかりのキャスターワゴン。
そこに缶詰や、シーツやおむつなどをまとめて入れていた。
それは、ヒーローを看護するという私の意気込みそのものだった。

今は無用となったその木製天板の上に、骨壷と写真と、お水とごはん、線香をならべた。
それを少しひいて見てみると、本当に、もの悲しい。

亡くなってからずっと、その部屋に入るたびに、
部屋のどこかにヒーローの姿を探している自分に気づいて、泣いた。


今日はその思いがピークになり、寝る前にもう一度部屋に入ったときには、
目の前の骨壷や写真を見ても、
なぜヒーローがいないのか、わからなくて、ひどく泣いた。






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7月1日(日)

亡くなった28日から、この看護日記の続きを書けずにいた。
今日になって、やっとまとめて書いている。

昨日よりはいくぶんか気分はマシになった。
ヒーローがいた部屋のそうじをして、気持ちをすっきりさせた。

それでも、ふとんを片付けるついでに寝転んだとき、
その感触とふとんの匂いにヒーローの面影がよみがえり、
一気にこみ上げてきて、泣いた。

1ヵ月、毎日ここでいっしょに寝た。

他の猫と違って、ヒーローは神経質なところがなかった。
足が麻痺しているせいもあるけど、機敏な動きでどこかに逃げてしまうようなことがなく、
引き寄せると素直に身をまかせてくれるのが嬉しかった。

ベッドではなく簡易的な敷布団なので、腰を痛めながらも毎日いっしょに寝た。
おむつの間からおしっこが洩れて、よくふとんを手洗いした。
闘病生活の最初のほうは、シリンジで薬やミルクを無理やり与えていた。
それがヒーローにはしんどくて、私にとっても苦痛だった。
後半はそれがなくなり、やっと落ち着いた看護生活を送れるようになっていたのに・・・。

初めて会った12月25日から、きっと、ずっとヒーローは私のことが好きだった。
私は愛護センターの収容写真を見た時からずっと、会う前から、好きだった。

それなのに、いろんな活動が忙しくなってきた3月ごろからは、
最初のころに比べてヒーローのためにとれる時間が減っていた。
シェルターに行くたびに軽いマッサージと、トイレの入念な掃除は続けていたが、
ヒーローにかける思いは徐々に薄れていっていた。

白血病とは言っても、ストレスのない生活を続けていれば寿命を全うできる病気だし、
虫下しとアゴの針金を抜くのが落ち着いた後は、ほったらかしていたと思う。

5月には子猫を預かって、ますます忙しくなった。
子猫が病気にかかり、看護に必死だった。
ちゃんと触れ合っていなかった数週間のあと、まともにヒーローを見たとき
すごく太っていてショックだったこともあった。
自分がちゃんとヒーローを見ていなかったせいだと気付き、ほったらかしたことを忍びなく思った。

そうこうしているうちに、ヒーローはFIPになっていた。

6月1日にはもう胸水がパンパンにたまっていたんだ。
その前の週に、ちゃんと見れていたら、異変に気づくことができたはずだ。
前の週といえば・・・子猫の一匹が完治し、里親が決まり、
よっちゃんをうちで引き取ると決めた週だ。

そうだ、私は子猫に夢中だったんだ。
早く気づいていれば、もしかしたら助かったかもしれないのに。

そもそもは、私がヒーローに目を向けていない時期にFIPになったんだ。
私にちゃんとかまってもらえなくて、寂しかっただろう。
そのストレスで発病したのかもしれない。

あとは・・・
24日の喧嘩は、2Fにいたヒーローも怖かっただろう。
それでストレスで一気に容体が悪くなっとのでは、ということも思ってしまう。

看護生活を精一杯やったという思いと、できていなかったかもという思い、
それから自分がちゃんとしていたらFIP自体なってなかったかもしれないという思いが、
混ざり合って複雑な感情になる。


私はまだ、ヒーローがいなくなったということを受け入れていない。
だから、ごめんね、も
ありがとう、も、まだ言えない。

ヒーローの写真を前にしても、名前を呼ぶことしかできない。



* * *

(看護日記おわり)





→ まとめ(仮) (準備中)





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テーマ:動物保護
ジャンル:福祉・ボランティア

2012.07.22 23:20|ボランティア活動
ひとつの小さな命と向き合った30日の記録。伝染性腹膜炎 (FIP)と闘う猫と人のために。


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→ はじめに… 命を看取るということ
「今から思えば、あの時私は、すべてをきれいに終わらせる事ばかり考えていたんです。」

→ 看護日記(1) 『 不安の1週間 』
「生かすための看護ではなく、看取るための看護って、こんなにむなしいものなんだ」

→ 看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』
「もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。」

→ 看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
「今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。」

→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」

→ まとめ(仮) (準備中)

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看護日記(3) 『 迷いの1週間 』


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6月15日(金)

朝。
カリカリにまったく口をつけていない。
丸一日くらい何も食べてないんではないだろうか?


他に変わった様子はないので、今朝もミルクを与えず様子を見てみる。
今日帰宅後見ても食べてなかったら、仕方ないので無理にでもミルクを与えよう。

夜、食べていない。
ミルクを与える。





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6月16日(土)

朝は久しぶりにシェルターにお世話に行った。

ヒーローの部屋、完全に片づけられていて、子猫が入っていた。
ヒーローが暮らしていた面影は一切なくなっていた。
さすがに涙が出た。

ヒーローはもう帰ってこれないのかな・・・。

FIPが発覚したときに、もうヒーローとはお別れ、
みたいなメールを皆にしたので仕方がないけど。
それにしてもさみしい。


夕方から病院受診。
ずっと食べていないことを言って、原因を診てもらおうとする。
FIPだからあちらこちら悪くなるのは当然、食欲も悪くなるもの、
といった漠然とした答え。
おしっこが黄色いことを言うと、黄疸が出ているかも、でも確定ではない、とのこと。

ボラ仲間さんからアドバイスをもらったとおり、レントゲンを撮ってもらうよう言ってみる。
・・・何のためにレントゲンを撮るんですか?
と返される。
あきれたような、突き放したような、ひどく冷たい言い方で、グサッときた。

何のため、って・・・ヒーローの体の中が今どうなっているか知りたいからに決まっている。

自宅で強制給餌することの難しさを伝え、
費用をお支払いするので今やってもらえませんか、とお願いしてみるが
診療が立て込んでいる時はできない、と断られる。
凹む。
内心、なにそれ・・・と文句を言いたかった。

ここはもうだめだ。

FIPと診断した時点で、先生の方針では、何をやっても意味がないというかんじなんだろう。
これ以上、この病院に何かを求めるのは無駄だと判断した。
幸い、先生も他の複数の病院に意見を求めたほうがいいと言ってくれている。

「たとえばこの子はがんです、と言われて、はいそうですかと諦められるわけがない。
セカンドオピニオンも、治療方針も含め、複数の病院に聞くのが当然だと思います。(うちではここまでしかできませんというニュアンス)」


元の病院から移ってきて、拠り所だったこの病院にもに見離されて、
気持ちが沈む日だった。

でも、ヒーロー、開けたてのパウチを一口食べた。
それはうれしかった。






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6月17日(日)

ボラ仲間さんに病院でのことを報告メールした。

ヒーローのこと、今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。


またヒーロー食べない。
開けたてじゃないと食べないのかな。

ボラ仲間さんから返信あり。
いちばん親身になってくれるのは、○○動物病院だと言う。

行ってみたいと思う。
もう3軒目だけど、この先あの病院に行きつづけるのは、私の気持ち的にも難しい。






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6月18日(月)

3軒目の病院には水曜日の朝イチで行くことにした。
どんな病院かわからないけど、とにかく行ってみよう。
もし優しい先生なら、いろいろ相談しながら進んでいける。

方向がすこしでも見えてよかった。





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6月19日(火)

2012-06-19 09.39.05

夜、コンビニでパウチや缶詰をいろいろ買って帰る。
ヒーローに開けたてを食べさせるためには、多少の無駄も仕方がない。

買ってきた3種類のごはんをヒーローに見せてみる。
反応あり。
にゃーと言う。

缶詰、カップ、パウチのうち、いちばんにゃーが大きかったパウチを開けて、
あげてみる。

食べた。
うれしい。

一度、冷蔵庫に入れたものは口にしないので、今夜あけたパウチは
そのまま部屋に常温で置いておこう。
1日くらい大丈夫だろう。

2012-06-19 09.39.28

おしっこは、あれからずっと黄色い。
やはり黄疸だと思う。
目のふちや、眼球、耳の中、鼻、肉球、すべてが黄色くなってきている。

寝る前、ネットで黄疸のことをたくさん調べた。






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6月20日(水)

3軒目の病院受診。
優しい先生。
状態を説明すると、レントゲンと血液検査をしてみましょう、と言ってくれる。

ボラ仲間さんが合流。
ヒーローの現状など、情報交換する。

レントゲンの結果は、胸水が少したまっているけど、30mlくらいなのでまだ大丈夫。
腎臓も少し腫れているけど大丈夫。
問題は血液検査で、明らかに黄疸の数値が出た。
食欲がないのは黄疸のせいだということ。

【6/20 血液検査の結果】
項目今回数値正常範囲増加なら・・・減少なら・・・
GLU11641~153糖尿病・ストレス・クッシング症肝不全・新生児低血糖・過剰な運動・飢餓・インスリノーマ
BUN

23

12~41腎機能低下・消化管内出血・高たんぱく食・尿路閉塞肝不全・肝硬変・多飲多尿
Cre1.30.7~2.5慢性腎不全・筋炎・溶血筋肉減少・妊娠
T-bil5.0<0.4溶血・肝細胞壊死・胆汁鬱滞・胆管炎・肝炎・門派シャント 
T-chol184<224食事性・クッシング症・糖尿病・甲状腺機能低下症・胆汁鬱滞肝不全
GOT65<45肝不全・筋炎肝硬変
GPT17<86肝不全・膵炎・創傷・腫瘍肝硬変
ALP<13040~234胆管炎・腫瘍・内分泌疾患・ステロイド投与・ストレス 
TP8.86.0~9.7脱水・高脂血症・腫瘍消化吸収障害・肝不全・腎不全・飢餓・出血・過剰輸液
WBC9755~195細菌感染・炎症・腫瘍・白血病・ストレス・ステロイド投与ウイルス性疾患・急性細菌感染・中毒
RBC564550~1000脱水・多血症貧血・中毒
HGB8.98~14脱水・多血症貧血・中毒
Ht24.424~45脱水・多血症貧血・中毒


で、他の症状も合わせて、先生の見立ても、FIP確定。
今回は相手が悪かった、と。
診察室が重苦しい空気になった。

インターフェロンをどうするか。
先生の体感では成功率5%~10%だと言う。
その数字を聞いて私は少し驚いた。思っていたより良い数字だ。

ボラ仲間さんはGOサイン。
私も、インターフェロンを試したいと言った。

あとは、どの病院でも言われたステロイドと抗生剤のセット。
この病院では、それを注射で与えてくれると言う。
自宅でのシリンジ投与が、ヒーローと私自身にも多大なストレスを与えていることを話したからだろう。
栄養入りの点滴通院と、インターフェロンと合わせて、毎日注射してもらうことになった。

それだけでもありがたい。
これで自宅での、あの嫌な時間がなくなる。
毎朝早起きしての通院はしんどいけど、それでもシリンジよりは、ヒーローと私のストレスは軽いと判断した。
今までの病院ではやってくれなかったことをこの病院ではやってくれる。
先生が救世主みたいに見えた。

気になったことがあったら何でも言ってください、
電話でもいいので、
との言葉があたたかく、胸にしみいる。

ちなみに、気になっていた、しっぽも診てもらった。
皮膚炎だということ。
他の病院ではちゃんと診てくれなくて、ただの汚れと判断されたのに。
あの茶色の汚れは、新たに分泌されていってるものらしい。
毛を刈って、塗り薬で治療するほうがいいとか。
ただ今はFIP治療が優先。
本人がストレスを感じていないようなら、しっぽの治療は後回しということになった。

病院からいったん帰宅。
昨夜あけたパウチの続きを与えてみる。
食べた。
とてもうれしい。
開けたてじゃなくても、常温のまま保管なら食べてくれることがわかった。

夜、仕事から帰宅。
玄関を入るとさっそく2Fからヒーローの大きな鳴き声がする。
急いでかけ上がって戸を開けると、顔を上げ私のほうをしっかり見て鳴き続ける。
まるで元気だったころのよう。
少し離れたところから名前を呼んでみると、立ち上がって歩いてきた。
私の足元にぴったりくっついて寝そべる。
シェルター時代を思い出した。

そしてなんと、皿に入れて置いていたカリカリを少し食べた形跡がある。
食欲が出てきている。
丸1日たったパウチの残りはもうさすがに食べないので、新しくねこカップを開けると食いついた。
やはり少ししか食べないが、昨日までより食いつきがいい。

これはインターフェロンが効いているに違いない。


食べるのに飽きてそっぽを向いたあとも、何を求めているのか、ずっと鳴いている。
もっと食べたいけど、それも嫌、どれも嫌、と言いたいのかな。
何が食べたい?ヒーロー。

今日はいい日だ。
うれしい日。
少しでも元気になってくれると、こんなに嬉しいものなのか。
あきらめかけていたけど、インターフェロンを試してよかった。






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6月21日(木)

朝。
昨日開けたねこカップはもう嫌みたい。
新しく黒缶を開けると、少し食べた。

通院。
昨日から今日にかけて、インターフェロンの効果か、ヒーローが元気なおかげで、
注射のとき、とても嫌がって怒っていた。

そして思いっきり噛まれた。

押さえている右手の、親指の付け根に、犬歯が深く突き刺さって激痛が走る。
でも穴は小さく、血が少し出る程度だった。
その場で先生に消毒を借りて、ちょんちょんとつけて、カットバンを貼った。

痛いけど、内心嬉しい。

怒ったり噛んだりする元気がある証拠だから。
大丈夫大丈夫、と先生にも痩せ我慢する。

でも、帰宅それから出勤、その間にもどんどん痛みと腫れが増していった。
でも動物実験の上に成り立っている現代医療の恩恵は受けたくない。

ネットで薬草など調べる。
ドクダミをすりつぶして塗ると殺菌効果があるみたいだが、どこに生えているのか、
すぐには手に入らない。
漢方薬局にも行ってみたが、処方箋がないと生薬は出せないと言われる。
せめて、とその場にあった塗り薬を少し塗らせてもらう。
あとは保冷剤で冷やしながら仕事をした。

帰宅。
ヒーローまた大きな声で鳴いている。
元気なのは嬉しいが、鳴き声がすごくて、大丈夫かなと心配になるくらい。

カリカリを食べた形跡あり。
魚系の缶詰しか食べないと思っていたが、開けたてのロイヤルカナンウェットを食べた。
魚以外でも開けたてなら食べるんだな。
主にスープ部分をぺろぺろ。
固形も何個かは食べた。

噛まれた右手、お風呂上りで血行がよくなった時に見たら、
赤く腫れている部分と普通の部分の境目がくっきりしていた。
親指の付け根全体がまるく腫れていて、手首の血管のあたりまで赤みが広がりつつあった。

寝るとき、ヒーローは昨日より少し息がしんどそうに感じた。
鼻息が荒い。





→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」





テーマ:動物保護
ジャンル:福祉・ボランティア

2012.07.22 23:19|ボランティア活動
ひとつの小さな命と向き合った30日の記録。伝染性腹膜炎 (FIP)と闘う猫と人のために。

*-*-*-*-*-*-*-*- *-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-

→ はじめに… 命を看取るということ
「今から思えば、あの時私は、すべてをきれいに終わらせる事ばかり考えていたんです。」

→ 看護日記(1) 『 不安の1週間 』
「生かすための看護ではなく、看取るための看護って、こんなにむなしいものなんだ」

→ 看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』
「もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。」

→ 看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
「今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。」

→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」

→ まとめ(仮) (準備中)

*-*-*-*-*-*-*-*- *-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-





看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』


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6月8日(金)

朝。
ヒーローの顔つきがしっかりしてきたような気がする。
目線を上にあげることができ、目の形も以前のようなまんまるに近くなってきた。

抗生剤とステロイドを流動パラフィンにまぜて、シリンジで与える。
抵抗するので、少しこぼれた。
ヒーロー不機嫌そう。口の中に残って気持ち悪いだろう。
こんなやり方でちゃんと吸収されるんだろうか。
やっぱり缶詰に混ぜて与えるほうがいいんだろうけど、缶詰食べないと薬が無駄になるしな。

ボラ仲間さんからメール。
やっぱり血液検査してもらったほうがいいのではないかと。
知り合いの先生と電話で話してくれたらしい。

日曜に行くので相談してみよう。






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6月9日(土)

シェルター仲間がサポートしてくれるおかげで、今日は久々の休みとなった。
旦那さんと買い物にも行けた。
昼間のヒーローの様子も見れた。
夕方にかけて部屋が暑い。扇風機だけでは無理があるか。

ヒーローは相変わらず。食欲微妙、元気微妙。

夜、薬を飲ませている最中、おもらし。
勢いよくピューッと、こたつ布団の上に流れ出る。
トイレに行けると思っていたのですこしショック。
やっぱりおむつを履かせないとだめか。

DSC_0042-1.jpg


寝るとき、ヒーローはいっしょに寝てくれなかった。
足元で一人で寝ていた。






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6月10日(日)

昼から病院受診。
血液検査のことを話すと、怪訝な顔をされた。
先生の見立てを疑うことになるのだから、そりゃ嫌な顔されるよな。

でも結局は血液採取して検査に送ってくれるという。

ヒーロー診察は、胸水は抜くほど溜まっていないだろうということ。
栄養源がカリカリ数粒というのがあまり良くないらしい。
追加の薬をもらって帰る。

ヒーロー、あまり元気ない。
呼吸はそんなに荒くないが、食欲がない。
ほとんど動かず、一日中、毛布の上で過ごしたようだ。

ミルクを与えたほうがいいんだろうけど、
薬を飲ませるのに無理にシリンジをつっこむ事で今ちょっと人間嫌いになっているかんじなので、
ミルクまで無理に与えるのは躊躇してしまう。
同じ理由で流動パラフィンも与えず。

今日も寝る時、ヒーローは私のそばに寄ってこなかった。
布団には来るけど、私の足元のほうで一人で寝ている。

ほんとに嫌われたんだろうか。
猫がしんどいとき、いなくなるのは、目の前の人がこの苦しみを与えていると勘違いするからだそうだ。
ヒーローの場合、病気でしんどい上に、無理矢理シリンジを口につっこまれて嫌な思いをさせられている。
その私を避けるようになるのは当然かもしれない。
さみしい。






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6月11日(月)

朝目覚めたときも、ヒーローは私の腕の中ではなく、足元に一人でいた。

薬を与えると、やっぱり嫌そうで、足をひきずりながら私から遠ざかる。
ごめんね。
ヒーローのためにやっているはずなのに、ちょっと意味がわからなくなる。

もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。

流動パラフィンは1日1回、時間に余裕のある夜だけ与えることにしよう。

帰宅。
トイレにおしっこあり!
ミルクに薬をまぜて与える。ヒーローやっぱり嫌がるけど、仕方ない。

寝る前、ヒロ部屋に上がるとトイレにうんちあり!
流動パラフィンなくても出るのね。与えるのは少しお休みしてみよう。
今夜は意識して優しく接してみる。
ヒーローは足を触られるとゴロゴロ言うみたい。気持ちいいのかな。
ゆっくり時間をとってマッサージしてあげる。
少しは私の好感度上がったかな。

寝るときも足元ではなく、おなかのへんまで上がってきてくれた。

シェルターにいた時は気づかなかったけど、ヒーローはふみふみ好きみたい。
毎日ふみふみしている。






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6月12日(火)

帰宅。
カリカリを少し食べている。

薬を与えたあとはヒーロー、部屋のすみっこに隠れる。
私がしたことじゃないよ、というように、さっと部屋をでる。
嫌なことをする人だと印象づけられてしまっては困るから。

DSC_0046-1.jpg

今日は元気ある気がするので、缶詰をあげてみるが、口をつけない。

寝る前にまた足を触ってあげていると、機嫌がよくなる。
ふみふみしているヒーローを見ていたらいつのまにか私も寝ていた。






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6月13日(水)

朝、トイレに行こうとするので慌てて抱っこして移動してあげるが、
すでにおむつの中でしていた。
尿意を感じる力はあるが、体がついていかなくて間に合わないのかもしれない。

今日は暑くなりそうなので扇風機を回して家を出る。

帰宅。
カリカリ少し食べている。

夜寝る前に体を濡れタオルで拭いてあげた。
薬入りミルクを無理矢理飲ませているせいで、いつも口からぽたぽたとこぼれる。
それが固まって、あごから胸にかけての毛がごわごわだ。

時間をかけて拭いてあげ、ブラッシングもして、きれいさっぱり。
ブラッシングのおかげか、ヒーロー機嫌がいい気がする。
足取りもしっかりしている気がする。

寝る前に少しカリカリを口にする。
数粒カリカリと噛んで、もうやめる。
食べにくそう。
見ていて思ったが、口内炎に硬いカリカリが当たって痛いのではないか。
明日はカリカリをふやかしたものも与えてみよう。

電気を豆球にして寝る。
豆球の薄暗い灯りの中、目も丸に近い形でしっかり開いていて、いつもより元気そう。






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6月14日(木)

朝おむつでおしっこ。
今日はカリカリをお湯でふやかしたものもお皿に入れて、並べてみる。
これならしっかり食べてくれるだろうか。

病院から電話あり。
血液検査の結果が出たそう。

結果は、FCoV抗体価(コロナウイルス抗体価)= 1600倍。


*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
【FCoV感染判定基準】(後日もらった診断書より)

400倍未満・・・FCoV感染の可能性は低いと思われます。

400倍~1600倍・・・FCoV抗体価が認められる。
臨床症状や蛋白分画等と併せて診断して下さい。
また2~3週間後の再検査をお勧めします。

3200倍以上・・・特徴的な臨床症状が認められる場合、FIP発症の可能性が疑われます。
*** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***


なんとも微妙な結果だ。
希望を抱いていいような、いけないような。
経過をみるしかない。


帰宅。
普通のカリカリも、ふやかしたものも、まったく口をつけていない。
薬が残り少なく明日病院に行けそうにないので、今日は薬お休み。

寝る前上がると、トイレにおしっこあり。
異様に色が濃い。

鮮やかな黄色いおしっこを吸った砂のかたまりがあり、
シートを見ると黄色~オレンジ~茶色のグラデーション。
血尿?ただの濃い尿?
飲水量はまあまあなので、尿が濃くなるのも変なような・・・

2012-06-15 02.08.11

まったく食べていないのが気になる。
でもせっかく薬をお休みするので、ミルクも無理には与えたくない。
様子を見よう。



→ 看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
「今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。」






テーマ:動物保護
ジャンル:福祉・ボランティア

2012.07.22 23:18|ボランティア活動
ひとつの小さな命と向き合った30日の記録。伝染性腹膜炎 (FIP)と闘う猫と人のために。

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→ はじめに… 命を看取るということ
「今から思えば、あの時私は、すべてをきれいに終わらせる事ばかり考えていたんです。」

→ 看護日記(1) 『 不安の1週間 』
「生かすための看護ではなく、看取るための看護って、こんなにむなしいものなんだ」

→ 看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』
「もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。」

→ 看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
「今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。」

→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」

→ まとめ(仮) (準備中)

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看護日記(1) 『 不安の1週間 』


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6月1日(金)

13時ごろ、仕事中、メール。
「ヒーローの具合が悪いようで(食欲、元気なし)今日、病院に連れていってもらいました。
脱水症状があり、白血球やタンパクの数値が悪く、インターフェロンとステロイド等を投与。
伝染性腹膜炎の疑いも少しあるということで、しっかり様子をみてくださいとのこと。
とえあえず連絡しておきます。」

夜、仕事が終わってからシェルターに急行。
泊まる覚悟で布団セット持参。
ボラ仲間さんがずっとついていてくれて、21時半ごろ到着した私とバトンタッチ。
ヒーロー息がしんどそうで元気ない。
その後、別のボラ仲間さんも仕事終わりでシェルターに駆けつける。

寝る前に何度かミルクを与えて栄養補給。
なかなか寝付けなかったけど、2時くらいには眠くなった。
夜中何度か、ヒーローの動きに合わせて目が覚めた。
私の寝るふとんに入ってきていっしょに寝たり、また出ていったりを繰り返した。
少しは動けるみたいだったけど、
置いていた餌にはまったく口をつける様子なし。
水も飲まず。





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6月2日(土)

シェルターで朝を迎える。
9時にボラ仲間さんがシェルターにお世話にきた車の音でようやく目が覚める。
ヒーロー相変わらず息苦しそう。
そのまま病院へ。

DSC_00011.jpg

触診で固い便があったので、指を入れて一部出してもらう。
レントゲンを撮ってもらうと、胸水が溜まっていることが判明
その圧力で肺が小さくつぶされていて、息苦しいようだ。
腎臓も大きく腫れている。

DSC_00012.jpg

DSC_00013.jpg


先生は、腹膜炎かどうか、まだ判断がつかないが、ほぼ確定ではないかと言う。
万が一のため入院させてもらえないかと
もう一度、先生と相談。やはり入院は適切ではないということになり、私も納得して、
抗生剤、ステロイド、利尿剤、緩下剤をもらって帰る。

シェルターに戻ってボラ仲間さんと合流。
状況を説明すると、
やはり入院させて手をつくしたほうがいいのではと言う。
腹膜炎の検査をしていないのに、断定してあきらめることには反対のよう。
胸水を抜かなかった判断にも疑問。
他の知り合いの先生に電話で相談してくれた。
頼もしい。
検査センターに送って3~4日かければ腹膜炎は断定できるらしく、
もう一度病院にそうしてもらうよう頼むことに。

その日の夜は、シェルターで広報部のミーティングあり。
22時半に終わり、そのまま帰って次の朝また病院にヒーローを連れていくつもりだったが、
ボラ仲間さんと帰り支度をしているうちに考えが変わる。
旦那さんに電話相談。
快くOKをもらい、結局その夜、ヒーローを自宅に連れて帰る

2階の和室をヒーロー部屋として整え、その日もいっしょに寝る。
ヒーローはまだ苦しそう。

DSC_0009.jpg




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6月3日(日)

朝10時半ごろ病院へ。
他の猫を連れてきたボラ仲間さんと合流。
いっしょに処置室に入ってもらう。

先生に診てもらう。
利尿剤で胸水が抜けていないと判断してか?、すぐに胸水を抜く作業にとりかかる。
エコーで確認しながら針を刺す場所をさがす。
少し手間取って、やっと40ml抜く。
これで少しは呼吸が落ち着くんではないかということ。
胸水の色は黄色~黄緑色で、屈折率で計るタンパク値が「7」だということ。
あきらかに腹膜炎と断定。

DSC_0012.jpg

DSC_0011.jpg


延命治療はしたくない旨伝え、緩和治療でいくことに。
胸水を抜く=タンパクを抜くことになるので、良くない。
抜いてもあと1~2回だとか。
点滴しても胸水たまる原因になるので、できるだけふつうに水分摂取させるほうがよい。

昨日もらった抗生剤、ステロイド、緩下剤、利尿剤を続けて与えることに。
胸水がたまりにくくするために利尿剤を倍の量に。

ボラ仲間さんとヒーロー保護の経緯を思い出しながら悲しみを分かち合う。

帰りに辛くなり、ついつい別の病院に駆け込む。
腹膜炎のセカンドオピニオンを求めた。

滲出液の写真を見せると腹膜炎と断定。
でも治療方法については疑問の様子。

利尿剤では胸水は抜けないし、たまりにくくするにも効果は疑問。
胸水はたまったら何度でも抜くしかない。
それより、今は脱水で苦しんでいるのだから、利尿剤で水分を余計に抜いてはいけない。
脱水症状を和らげてあげることが最優先で点滴し、胸水がたまってしまったら抜く。

電話で他の獣医師仲間にも聞いてくれた。
もう一人の獣医師も利尿剤はストップと、同じ意見だそう。

昨日レントゲンで胸水を発見したときにすぐに抜かなかったことにも疑問。
それと、抜いた量が少なすぎるのでは?
何度も抜くのに反対なのはタンパク値の低下ということでまだ理解できるが、
一回目の抜きがこの量はおかしい、とのこと。
急きょ、追加で抜いてもらうことに。

手際よく100ml抜ける。

DSC_0013.jpg


帰宅後、落ち着いたヒーローは、元の病院の後にくらべて、あきらかに呼吸が落ち着いている。
そして元の病院で受けた説明についても疑問視するように。

ボラ仲間さんにメールで報告&相談。
利尿剤をどうするか、知り合いの先生たちに聞いてくれるとのこと。
その意見を待っている間、ヒーローの様子を見つつ、利尿剤は与えないことに決め、
その晩は抗生剤、緩下剤のみ与える。(ステロイドは朝1回なので済み)





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6月4日(月)

平日の仕事が始まった。
ヒーローを長時間放置するのは不安だけど仕方がない。
胸水を抜いてから呼吸も落ち着き、様子は安らか。

ネットで探して、会社近くに駐車場を借りることにする。
昼休みに30分でも見に帰ろうと思う。

初日だからか、すごく不安で、会社のトイレで泣いたりした。

20時に定時がくると、早足で会社を出る。
電車をおりると駆け足で家に帰った。
ヒーロー無事。朝と変わらない様子。
カリカリを食べた形跡があり安心する。

晩の薬を与えるとき、ネットで読んだ誰かの看護記録を思い出し、
缶詰を細かくして、ミルクと薬をすべてまぜて流動食にして与えてみようと思った。
シリンジの先を切って流動食を吸うが、うまくいかず、
ほんとにこれでいいのか?と思いつつ、ヒーローの口にあてる。
先を切って大きく開いているので、ヒーローが嫌がって顔をそむけるだけでぽたぽたと下に落ちてしまう。

何度かくり返すがどうしても口に入れてくれず、いらいらする。
ヒーローも本当に嫌そうで、少ない体力を振り絞って抵抗して、ぐったりとしている。

はっと気づいて、何してるんだろうと泣けてくる。
ヒーローの余生を少しでも安らかに過ごさせるために、緩和治療でいくと決めたのに、
カリカリは少し食べた形跡があるのに、無理やり流動食を口に押し入れる必要なんかない・・・。
ごめんね・・・と心の中で謝る。
情けなくなって、力が抜けて、たくさん泣いた。

生かすための看護ではなく、
看取るための看護って、こんなにむなしいものなんだと思った。

夜、寝転んで抱いていると、私の腕にそのままおしっこ。布団にも流れる。
洗面所で布団を軽く手洗いして庭に干して寝る。
もうだいぶ動けるので、トイレでしてほしいが、慣れてないので嫌なのかもしれない。





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6月5日(火)

朝方、ヒーローががぶがぶと水を飲む音で目が覚める。
カリカリも少し食べた。
自力で飲食できる姿を見てほっとした。

今日は2日目なので、私自身少し慣れて、仕事中もくよくよすることはあまりなかった。
でもなんとなく気分は沈んだまま。

猫の看取り方で検索して、印象に残った意見があった。
その猫はもう亡くなったが、闘病中、無理に餌を食べさせたことを後悔している、とあった。

猫にとっての幸せをあらためて考えた。
一瞬一瞬、不快なことをなくしてあげることが、いちばんの幸せではないか。
猫にとっては、強制給餌の目的や理由などわからないのだから。

帰宅、ヒーロー無事。
以前ほどの元気はないが、もう大丈夫なのではと思うくらい回復したように思う。
カリカリ食べて、水も自分で飲める。
強制給餌しなくてよさそうでほっとする。

ボラ仲間さんに報告メール。
写メつきで元気な姿を見せると、喜んでくれた。

DSC_0015.jpg


麻痺してないほうの左足を何気にマッサージしてみる。
肉球が冷たくて、筋の伸びが悪い気がする。
そういえば胸水で苦しい時、少しピクピクと痙攣していた。

おしっこを布団の上で。また手洗いして庭に干す。
昨日干した布団乾いてたので取り入れて今日のかけ布団にする。
うんち3日出てない。
最後に見たのは6月2日(土)シェルターで黄色いドロドロの便。
木曜に2軒目の病院に連れていって相談しよう。





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6月6日(水)

昨夜から朝にかけて、眠りの合間にぼんやりと考えていたことが、
朝方、急にはっきりした考えとなって頭に浮かぶ。

ヒーローは下半身全体が麻痺しかけているんではないだろうか。

左足の血行が悪く、筋が硬くなっていること。たまにピクピクと軽く痙攣する。
動けるようになったのにおしっこを垂れ流すこと。
便が出ないこと。

これらを考えても、下半身麻痺なら説明がつく。
腰から下全体の筋肉が弛緩していて、便が中にあっても出せないし、
膀胱も麻痺しかけていて、おしっこを出すタイミングを調節できないのでは。
おしっこする時のヒーローの様子を見ていると、
気づいたら漏らしていて自分でもびっくりして、濡れたくないから移動する、
といった感じにも見える。

今朝はモンプチカリカリではなく、RCピュアフィーライン・ヴィタリテを与えてみたが、
これも食べてくれた。

夜、旦那さんと仕事終わりが重なったので車で乗せて帰ってもらう。
ヒーローのおむつを買うため、開いてるスーパーに立ち寄ってもらうよう頼む。
嫌な顔せず動いてくれ、いっしょにあれこれとおむつを選んでくれる。感謝。

帰ってさっそくヒーローにおむつを装着。
しっぽの穴を開けてすっぽりはかせると、心配していたよりサイズもいいかんじで、ズレも少なそう。
見た目もかわいい。

DSC_0017-1.jpg


ボラ仲間さんから優しい気遣いメール。
土曜日の朝は人手が多いので、今週も休んでください、と。
ネットのシフト表を見ると、すでに名前を消してくれていた。
ありがたい。

おむつ猫になったので、安心していっしょに布団に入る
眠りにつきかけたころ、ヒーローの動きと匂いで目が覚める。
掛け布団におしっこが大量に流れている。
おむつの隙間から流れ出たようだ。おむつをぬがせてみると、吸った形跡なし。
やっぱりヒト用のはだめなのか。マミーポコの吸水力がだめなのか。
また洗面所で部分洗いして庭に干す。
3夜連続、さすがに疲れる。

部屋に戻ると今度は敷き布団におしっこ。今夜は2回も。
尿が出たことを喜んでいいのか、疲れでわからなくなる。
重い敷き布団を持って1Fに下り、また洗う。
庭に干す場所もないので部屋に立てて干してみるが、匂いが気になり
やっぱり庭に無理やり干す。
ため息。

明日は早起きして病院に行って、経過を診てもらい、ついでに下半身麻痺について聞いてみよう。

自分が寝る布団がなくなったので、こたつ布団を敷いて寝る。
腰がいたい。

夜中ヒーローが全身をビクッと一回痙攣させる。
人間でも眠っているときになることがあるが、あんなかんじ。





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6月7日(木)

朝、病院受診。
利尿剤をストップしていることや、食欲などを報告してアドバイスをもらう。

胸水は、呼吸が正常に近いので、それほど溜まっていない。
レントゲンやエコーで調べるまでもない程度。
脱水症状はほとんどない。

おしっこについては、FIPのドライタイプに見られる神経症状も出ている可能性があるが、断定できない。
FIPドライの場合、今後麻痺が上半身まで至る可能性あり。
また事故の影響が膀胱周りや左足にもじわじわ出てきた可能性もある。

でも右足の麻痺が本当は事故ではなかったとしたら?
眼振について前から気になっていたと言うと、それもFIPの影響だったかもしれないと。
こうなるといつから発症していたのかわからなくなる。
胸水が溜まるのは末期なので、実はかなり前から発症していたのではと疑う。
右足の麻痺が事故によるものかどうかは、保護前にかかっていたという病院にもう1度確認すればわかるが・・・。

うんちは触診の結果、柔らかめのが5cmくらい溜まっているが、普通の1回分くらいなので正常。
自力で出せるかどうかはまだわからない。刺激すると括約筋の反応はある。

強制給餌するときに困ったことを話すと、丁寧にレクチャーしてくれた。
レクチャーのサンプルで「退院サポート」という缶詰を皿に入れて出してきてもらった時、ヒーロー食いつく。
他の缶詰は食べなかったのに。
500円と高いが、食べてくれたのが嬉しかったので1缶買って帰る。
ペースト状の缶詰を流し込める大きいシリンジも買う。

仕事終わり、旦那さん迎えにきてくれる。
ゲームを買って帰るというが、一刻も早く帰って安否確認したい私は嫌な顔をする。
5分だけということで店に寄る。いらいらする。

週末に服を買いに行って食事をしたいと言っていた旦那さん、ついでに映画も見たいと言い出した。
私の時間があいて、かまってほしい気持ちもわかるので、むげにはできないけど、
何のために時間をあけたのかを、考えてほしい。
シェルターのシフトを休んでまでヒーローとの時間をつくっているのに、遊んではいられない。
映画は無理と断った。

帰宅、ヒーロー無事。
また漏れるかもしれないが、いちおう、おむつを装着。

旦那さんとのやりとりで悪いと思って、映画いけなくてごめんと謝って、リビングで長めに過ごしてみる。
ごめんね。と思う。
このままの看護生活は続けられない。
どうしたらうまく立ち回れるか、考えないといけない。

2Fに上がると、トイレの砂が乱れているのを発見。
でもおしっこはない。そりゃそうだ、おむつしている。
見ると、ヒーローはおむつの中でおしっこしていた。今度はちゃんと吸収している。
さらにうんちまであった!
カチカチで細く、途切れ途切れのものが、延べ5cmくらい。

ということは、自力でうんちはできるんだ。
あるいは、おしっこもできるようになった?
今度おむつなしにしてみて、うんちとおしっこどちらをトイレでするか、見なければならない。

病院で買った高価な缶詰、家では食べない。
カリカリとかつおぶしを食べる。
今夜は布団を手洗いしないですんだ。それだけでもずいぶん楽。気持ちも楽。
排泄の処理は、精神的にもダメージが大きいとわかった。

左足をマッサージしてみる。
しなやかには動かない。
筋がつっぱったり、変に力が入ったりして、曲げ伸ばしがぎこちない。

寝るときツイッターを見る。
川崎事件、控訴なしとあった。そして犯人はすでに釈放されていると。
何か言葉にならないものがこみ上げてきて、泣いた。

夜中、ヒーローの体がまた一度ビクッと震えた。



→ 看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』
「もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。」






テーマ:動物保護
ジャンル:福祉・ボランティア

2012.07.22 01:27|ボランティア活動
実際どう書いていいものか、わからないまま、「あの日」から何週間も過ぎてしまいました。

その間にも、動物福祉活動を続けていく中で、書きたいこと、訴えたいこと、いろいろな事に出会いましたが、私の中ではあの子のことを書かずして他の記事を書いたり、またがんばろうと前向きに考えることはできませんでした。

このままでは、次へは進めない・・・
そういう気持ちがいまだ強く残っていることに、ここ数日であらためて気づきました。
だから、迷いましたが書くことにしました。
今日は、私の今後の決意もこめて、皆さんにご報告しようと思います。


6月28日、午後11時すぎ、カプチーノ猫のヒーローが虹の橋へ旅立ちました。



1才と1ヵ月でした。

DSC_0002.jpg


ヒーローは飼い主に飼育放棄された後、動物愛護センターに収容され、
殺処分寸前だったところをシェルターに引き取った子です。
人なつこい性格と、独特のひょうきんさで、スタッフみんなに可愛がられていました。
大切に大切に、育ててきました。


そして私にとっては特別な猫でした。

→ 「純粋にただ、生きている。~カプチーノ猫のヒーロー~」


* * *


6月のはじめ、ヒーローは急に体調を崩しました。

病名は、「 伝染性腹膜炎 (FIP) 」

白血病の発症ばかりを心配していた私の耳に飛び込んできたのは、そんな聞き馴染みのない病名でした。
よかった。白血病じゃなかった。
一瞬、胸をなでおろしました。

でもそれが間違いだったと気づかされるのに、そう時間はかかりませんでした。

この病名をご存知の方ならおわかりになると思うのですが、
それは、聞いた瞬間凍りついてしまってもいいほどの、恐ろしい病気だったのです。

獣医師が軒並み、さじを投げるほどの最凶の相手。
それがヒーローの相手でした。

ヒーローはFIPのウェットタイプと呼ばれる症状で、
体調を崩した時にはすでに胸水がいっぱいに溜まり、生死の境をさまよっていました。
シェルタースタッフの連携と病院での処置により一命は取り留めたものの、
FIPという病名から想像される残りの時間は、そんなに長くはないと、私たちは覚悟せざるを得ませんでした。


DSC_0309_s.jpg



ヒーローをシェルターに迎え入れた昨年12月末から、私には、ずっと悩んでいたことがありました。
それは、彼を家族として我が家に迎え入れること。

でもヒーローは白血病で、うちには先住猫が2匹いました。
感染を防ぐ飼い方について悩んでいるうちに、あっと言う間に月日は流れていきました。
その間シェルターで元気に遊ぶ姿や、ボランティアの皆さんが可愛がってくれているのを見るうちに、
なんとなく決定を先延ばしにしていました。

気がついたら、ヒーローは死に至る病気になっていました。

私は5ヵ月間、何をしてた?

そんな事態になってようやく目が覚めた私は、突き動かされるようにヒーローを自宅に連れ帰りました。
でも、5ヵ月ごしにやっと自宅に迎え入れたヒーローは、
残念ながらもう、以前の元気なヒーローではありませんでした。


せめて、彼の最期を看取ってやるために、私はベストを尽くそう。
そんな思いから、ヒーローと私の、長くて短い、1ヵ月の闘病生活が始まったのでした。



当初私はこの事態を、意外と冷静に受け止めていました。
どうすれば良い最期にしてやれるか、
どうすれば私自信の後悔が少ないか。

今から思えば、あの時私は、すべてをきれいに終わらせる事ばかり考えていたんです。
でも現実はそんなに甘くはなくて、どんな終わりであっても後悔は付きまとうし、
良い最期なんていう形のないものを追いかけて、
結果的には自分で自分の首を絞めていっていたのでした。

だってヒーローと私の闘病生活は、その時思っていたものより、はるかに陰鬱なものだったし、
その最期は、私が納得できるものではなかったからです。


命を看取るということが、
これほどまでに重いものだとは、その時の私にはわかっていませんでした。




DSC_0004.jpg


* * *

今の複雑な気持ちをこれ以上言葉にする前に、まず、
1ヵ月の闘病生活の間に起こったこと、感じたことを書いておきたいので、看護日記を公開することにしました。

この日記は、本当に書いておいて良かったと思います。
疲労困憊の看護生活の中で淡々と書いている文章ですが、今読むと、
死を乗り越えるためのヒントがたくさん散らばっている気がします。

特にボランティア仲間の支えは本当に心あたたまるもので、それがなくては、
私は途中で挫折していたと思います。


日記を載せる目的は、私自身が次へ進むため、気持ちを整理するため、
というのはもちろんなのですが、もう一つ大きな目的があります。

それは、「伝染性腹膜炎(FIP)」という難解な病気に関する情報を、
どんなに無駄だと思うような小さな情報でも、発信したいという思いです。


私がこの病気に初めて向き合ったとき、獣医師も見放す難しい病気だということしかわからず、
なぜこんなにも情報がないのかと愕然としたのです。
そして、ただ致死率の高い難しい病気だということだけが書いてあるサイトが多い中で、
同じ境遇を体験した飼い主さんの闘病ブログは、私にとっては遠くから射す一筋の希望の光のようでした。

そこには獣医師がすでにあきらめた試行錯誤があり、小さなデータの積み重ねがあり、
猫を思う必死の努力の姿がありました。
そういうブログを読んで、ずいぶん励まされたと同時に、死に対する心構えのようなものもできていったのです。

だから、今も苦しんでいる飼い主さんや猫のために、今度は私が何か発信できればと思いました。
FIPという病気にかかったばかりに亡くなってしまったヒーローですが、
そんな希少な病気にかかったからこそ、その死を無駄にしない方法があります。


私の看護日記なんて、ぜんぜんデータとか細かなことは書いてないんですが、何か少しでも、
皆さんがパートナーと向き合う時のヒントになればと思います。

* * *

→ 看護日記(1) 『 不安の1週間 』
「生かすための看護ではなく、看取るための看護って、こんなにむなしいものなんだ」





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にゃんとら

Author:にゃんとら
岡山の猫好き。
犬猫を愛護センターや保健所からレスキューするNPO法人の動物愛護ボランティアに参加。シェルターに犬猫のお世話に行きながら、個人ボランティアとしても情報発信しています。
本職はグラフィックデザイナ~。

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