FIP看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』

2012.07.22 23:19|ボランティア活動
ひとつの小さな命と向き合った30日の記録。伝染性腹膜炎 (FIP)と闘う猫と人のために。

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→ はじめに… 命を看取るということ
「今から思えば、あの時私は、すべてをきれいに終わらせる事ばかり考えていたんです。」

→ 看護日記(1) 『 不安の1週間 』
「生かすための看護ではなく、看取るための看護って、こんなにむなしいものなんだ」

→ 看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』
「もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。」

→ 看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
「今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。」

→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」

→ まとめ(仮) (準備中)

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看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』


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6月8日(金)

朝。
ヒーローの顔つきがしっかりしてきたような気がする。
目線を上にあげることができ、目の形も以前のようなまんまるに近くなってきた。

抗生剤とステロイドを流動パラフィンにまぜて、シリンジで与える。
抵抗するので、少しこぼれた。
ヒーロー不機嫌そう。口の中に残って気持ち悪いだろう。
こんなやり方でちゃんと吸収されるんだろうか。
やっぱり缶詰に混ぜて与えるほうがいいんだろうけど、缶詰食べないと薬が無駄になるしな。

ボラ仲間さんからメール。
やっぱり血液検査してもらったほうがいいのではないかと。
知り合いの先生と電話で話してくれたらしい。

日曜に行くので相談してみよう。






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6月9日(土)

シェルター仲間がサポートしてくれるおかげで、今日は久々の休みとなった。
旦那さんと買い物にも行けた。
昼間のヒーローの様子も見れた。
夕方にかけて部屋が暑い。扇風機だけでは無理があるか。

ヒーローは相変わらず。食欲微妙、元気微妙。

夜、薬を飲ませている最中、おもらし。
勢いよくピューッと、こたつ布団の上に流れ出る。
トイレに行けると思っていたのですこしショック。
やっぱりおむつを履かせないとだめか。

DSC_0042-1.jpg


寝るとき、ヒーローはいっしょに寝てくれなかった。
足元で一人で寝ていた。






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6月10日(日)

昼から病院受診。
血液検査のことを話すと、怪訝な顔をされた。
先生の見立てを疑うことになるのだから、そりゃ嫌な顔されるよな。

でも結局は血液採取して検査に送ってくれるという。

ヒーロー診察は、胸水は抜くほど溜まっていないだろうということ。
栄養源がカリカリ数粒というのがあまり良くないらしい。
追加の薬をもらって帰る。

ヒーロー、あまり元気ない。
呼吸はそんなに荒くないが、食欲がない。
ほとんど動かず、一日中、毛布の上で過ごしたようだ。

ミルクを与えたほうがいいんだろうけど、
薬を飲ませるのに無理にシリンジをつっこむ事で今ちょっと人間嫌いになっているかんじなので、
ミルクまで無理に与えるのは躊躇してしまう。
同じ理由で流動パラフィンも与えず。

今日も寝る時、ヒーローは私のそばに寄ってこなかった。
布団には来るけど、私の足元のほうで一人で寝ている。

ほんとに嫌われたんだろうか。
猫がしんどいとき、いなくなるのは、目の前の人がこの苦しみを与えていると勘違いするからだそうだ。
ヒーローの場合、病気でしんどい上に、無理矢理シリンジを口につっこまれて嫌な思いをさせられている。
その私を避けるようになるのは当然かもしれない。
さみしい。






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6月11日(月)

朝目覚めたときも、ヒーローは私の腕の中ではなく、足元に一人でいた。

薬を与えると、やっぱり嫌そうで、足をひきずりながら私から遠ざかる。
ごめんね。
ヒーローのためにやっているはずなのに、ちょっと意味がわからなくなる。

もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。

流動パラフィンは1日1回、時間に余裕のある夜だけ与えることにしよう。

帰宅。
トイレにおしっこあり!
ミルクに薬をまぜて与える。ヒーローやっぱり嫌がるけど、仕方ない。

寝る前、ヒロ部屋に上がるとトイレにうんちあり!
流動パラフィンなくても出るのね。与えるのは少しお休みしてみよう。
今夜は意識して優しく接してみる。
ヒーローは足を触られるとゴロゴロ言うみたい。気持ちいいのかな。
ゆっくり時間をとってマッサージしてあげる。
少しは私の好感度上がったかな。

寝るときも足元ではなく、おなかのへんまで上がってきてくれた。

シェルターにいた時は気づかなかったけど、ヒーローはふみふみ好きみたい。
毎日ふみふみしている。






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6月12日(火)

帰宅。
カリカリを少し食べている。

薬を与えたあとはヒーロー、部屋のすみっこに隠れる。
私がしたことじゃないよ、というように、さっと部屋をでる。
嫌なことをする人だと印象づけられてしまっては困るから。

DSC_0046-1.jpg

今日は元気ある気がするので、缶詰をあげてみるが、口をつけない。

寝る前にまた足を触ってあげていると、機嫌がよくなる。
ふみふみしているヒーローを見ていたらいつのまにか私も寝ていた。






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6月13日(水)

朝、トイレに行こうとするので慌てて抱っこして移動してあげるが、
すでにおむつの中でしていた。
尿意を感じる力はあるが、体がついていかなくて間に合わないのかもしれない。

今日は暑くなりそうなので扇風機を回して家を出る。

帰宅。
カリカリ少し食べている。

夜寝る前に体を濡れタオルで拭いてあげた。
薬入りミルクを無理矢理飲ませているせいで、いつも口からぽたぽたとこぼれる。
それが固まって、あごから胸にかけての毛がごわごわだ。

時間をかけて拭いてあげ、ブラッシングもして、きれいさっぱり。
ブラッシングのおかげか、ヒーロー機嫌がいい気がする。
足取りもしっかりしている気がする。

寝る前に少しカリカリを口にする。
数粒カリカリと噛んで、もうやめる。
食べにくそう。
見ていて思ったが、口内炎に硬いカリカリが当たって痛いのではないか。
明日はカリカリをふやかしたものも与えてみよう。

電気を豆球にして寝る。
豆球の薄暗い灯りの中、目も丸に近い形でしっかり開いていて、いつもより元気そう。






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6月14日(木)

朝おむつでおしっこ。
今日はカリカリをお湯でふやかしたものもお皿に入れて、並べてみる。
これならしっかり食べてくれるだろうか。

病院から電話あり。
血液検査の結果が出たそう。

結果は、FCoV抗体価(コロナウイルス抗体価)= 1600倍。


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【FCoV感染判定基準】(後日もらった診断書より)

400倍未満・・・FCoV感染の可能性は低いと思われます。

400倍~1600倍・・・FCoV抗体価が認められる。
臨床症状や蛋白分画等と併せて診断して下さい。
また2~3週間後の再検査をお勧めします。

3200倍以上・・・特徴的な臨床症状が認められる場合、FIP発症の可能性が疑われます。
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なんとも微妙な結果だ。
希望を抱いていいような、いけないような。
経過をみるしかない。


帰宅。
普通のカリカリも、ふやかしたものも、まったく口をつけていない。
薬が残り少なく明日病院に行けそうにないので、今日は薬お休み。

寝る前上がると、トイレにおしっこあり。
異様に色が濃い。

鮮やかな黄色いおしっこを吸った砂のかたまりがあり、
シートを見ると黄色~オレンジ~茶色のグラデーション。
血尿?ただの濃い尿?
飲水量はまあまあなので、尿が濃くなるのも変なような・・・

2012-06-15 02.08.11

まったく食べていないのが気になる。
でもせっかく薬をお休みするので、ミルクも無理には与えたくない。
様子を見よう。



→ 看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
「今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。」






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犬猫を愛護センターや保健所からレスキューするNPO法人の動物愛護ボランティアに参加。シェルターに犬猫のお世話に行きながら、個人ボランティアとしても情報発信しています。
本職はグラフィックデザイナ~。

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