FIP看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
2012.07.22 23:20|ボランティア活動|
ひとつの小さな命と向き合った30日の記録。伝染性腹膜炎 (FIP)と闘う猫と人のために。
*-*-*-*-*-*-*-*- *-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-
→ はじめに… 命を看取るということ
「今から思えば、あの時私は、すべてをきれいに終わらせる事ばかり考えていたんです。」
→ 看護日記(1) 『 不安の1週間 』
「生かすための看護ではなく、看取るための看護って、こんなにむなしいものなんだ」
→ 看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』
「もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。」
→ 看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
「今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。」
→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」
→ まとめ(仮) (準備中)
*-*-*-*-*-*-*-*- *-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-
看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
---------------------------------------------------------
6月15日(金)
朝。
カリカリにまったく口をつけていない。
丸一日くらい何も食べてないんではないだろうか?
他に変わった様子はないので、今朝もミルクを与えず様子を見てみる。
今日帰宅後見ても食べてなかったら、仕方ないので無理にでもミルクを与えよう。
夜、食べていない。
ミルクを与える。
---------------------------------------------------------
6月16日(土)
朝は久しぶりにシェルターにお世話に行った。
ヒーローの部屋、完全に片づけられていて、子猫が入っていた。
ヒーローが暮らしていた面影は一切なくなっていた。
さすがに涙が出た。
ヒーローはもう帰ってこれないのかな・・・。
FIPが発覚したときに、もうヒーローとはお別れ、
みたいなメールを皆にしたので仕方がないけど。
それにしてもさみしい。
夕方から病院受診。
ずっと食べていないことを言って、原因を診てもらおうとする。
FIPだからあちらこちら悪くなるのは当然、食欲も悪くなるもの、
といった漠然とした答え。
おしっこが黄色いことを言うと、黄疸が出ているかも、でも確定ではない、とのこと。
ボラ仲間さんからアドバイスをもらったとおり、レントゲンを撮ってもらうよう言ってみる。
・・・何のためにレントゲンを撮るんですか?
と返される。
あきれたような、突き放したような、ひどく冷たい言い方で、グサッときた。
何のため、って・・・ヒーローの体の中が今どうなっているか知りたいからに決まっている。
自宅で強制給餌することの難しさを伝え、
費用をお支払いするので今やってもらえませんか、とお願いしてみるが
診療が立て込んでいる時はできない、と断られる。
凹む。
内心、なにそれ・・・と文句を言いたかった。
ここはもうだめだ。
FIPと診断した時点で、先生の方針では、何をやっても意味がないというかんじなんだろう。
これ以上、この病院に何かを求めるのは無駄だと判断した。
幸い、先生も他の複数の病院に意見を求めたほうがいいと言ってくれている。
「たとえばこの子はがんです、と言われて、はいそうですかと諦められるわけがない。
セカンドオピニオンも、治療方針も含め、複数の病院に聞くのが当然だと思います。(うちではここまでしかできませんというニュアンス)」
元の病院から移ってきて、拠り所だったこの病院にもに見離されて、
気持ちが沈む日だった。
でも、ヒーロー、開けたてのパウチを一口食べた。
それはうれしかった。
---------------------------------------------------------
6月17日(日)
ボラ仲間さんに病院でのことを報告メールした。
ヒーローのこと、今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。
またヒーロー食べない。
開けたてじゃないと食べないのかな。
ボラ仲間さんから返信あり。
いちばん親身になってくれるのは、○○動物病院だと言う。
行ってみたいと思う。
もう3軒目だけど、この先あの病院に行きつづけるのは、私の気持ち的にも難しい。
---------------------------------------------------------
6月18日(月)
3軒目の病院には水曜日の朝イチで行くことにした。
どんな病院かわからないけど、とにかく行ってみよう。
もし優しい先生なら、いろいろ相談しながら進んでいける。
方向がすこしでも見えてよかった。
---------------------------------------------------------
6月19日(火)

夜、コンビニでパウチや缶詰をいろいろ買って帰る。
ヒーローに開けたてを食べさせるためには、多少の無駄も仕方がない。
買ってきた3種類のごはんをヒーローに見せてみる。
反応あり。
にゃーと言う。
缶詰、カップ、パウチのうち、いちばんにゃーが大きかったパウチを開けて、
あげてみる。
食べた。
うれしい。
一度、冷蔵庫に入れたものは口にしないので、今夜あけたパウチは
そのまま部屋に常温で置いておこう。
1日くらい大丈夫だろう。

おしっこは、あれからずっと黄色い。
やはり黄疸だと思う。
目のふちや、眼球、耳の中、鼻、肉球、すべてが黄色くなってきている。
寝る前、ネットで黄疸のことをたくさん調べた。
---------------------------------------------------------
6月20日(水)
3軒目の病院受診。
優しい先生。
状態を説明すると、レントゲンと血液検査をしてみましょう、と言ってくれる。
ボラ仲間さんが合流。
ヒーローの現状など、情報交換する。
レントゲンの結果は、胸水が少したまっているけど、30mlくらいなのでまだ大丈夫。
腎臓も少し腫れているけど大丈夫。
問題は血液検査で、明らかに黄疸の数値が出た。
食欲がないのは黄疸のせいだということ。
【6/20 血液検査の結果】
で、他の症状も合わせて、先生の見立ても、FIP確定。
今回は相手が悪かった、と。
診察室が重苦しい空気になった。
インターフェロンをどうするか。
先生の体感では成功率5%~10%だと言う。
その数字を聞いて私は少し驚いた。思っていたより良い数字だ。
ボラ仲間さんはGOサイン。
私も、インターフェロンを試したいと言った。
あとは、どの病院でも言われたステロイドと抗生剤のセット。
この病院では、それを注射で与えてくれると言う。
自宅でのシリンジ投与が、ヒーローと私自身にも多大なストレスを与えていることを話したからだろう。
栄養入りの点滴通院と、インターフェロンと合わせて、毎日注射してもらうことになった。
それだけでもありがたい。
これで自宅での、あの嫌な時間がなくなる。
毎朝早起きしての通院はしんどいけど、それでもシリンジよりは、ヒーローと私のストレスは軽いと判断した。
今までの病院ではやってくれなかったことをこの病院ではやってくれる。
先生が救世主みたいに見えた。
気になったことがあったら何でも言ってください、
電話でもいいので、
との言葉があたたかく、胸にしみいる。
ちなみに、気になっていた、しっぽも診てもらった。
皮膚炎だということ。
他の病院ではちゃんと診てくれなくて、ただの汚れと判断されたのに。
あの茶色の汚れは、新たに分泌されていってるものらしい。
毛を刈って、塗り薬で治療するほうがいいとか。
ただ今はFIP治療が優先。
本人がストレスを感じていないようなら、しっぽの治療は後回しということになった。
病院からいったん帰宅。
昨夜あけたパウチの続きを与えてみる。
食べた。
とてもうれしい。
開けたてじゃなくても、常温のまま保管なら食べてくれることがわかった。
夜、仕事から帰宅。
玄関を入るとさっそく2Fからヒーローの大きな鳴き声がする。
急いでかけ上がって戸を開けると、顔を上げ私のほうをしっかり見て鳴き続ける。
まるで元気だったころのよう。
少し離れたところから名前を呼んでみると、立ち上がって歩いてきた。
私の足元にぴったりくっついて寝そべる。
シェルター時代を思い出した。
そしてなんと、皿に入れて置いていたカリカリを少し食べた形跡がある。
食欲が出てきている。
丸1日たったパウチの残りはもうさすがに食べないので、新しくねこカップを開けると食いついた。
やはり少ししか食べないが、昨日までより食いつきがいい。
これはインターフェロンが効いているに違いない。
食べるのに飽きてそっぽを向いたあとも、何を求めているのか、ずっと鳴いている。
もっと食べたいけど、それも嫌、どれも嫌、と言いたいのかな。
何が食べたい?ヒーロー。
今日はいい日だ。
うれしい日。
少しでも元気になってくれると、こんなに嬉しいものなのか。
あきらめかけていたけど、インターフェロンを試してよかった。
---------------------------------------------------------
6月21日(木)
朝。
昨日開けたねこカップはもう嫌みたい。
新しく黒缶を開けると、少し食べた。
通院。
昨日から今日にかけて、インターフェロンの効果か、ヒーローが元気なおかげで、
注射のとき、とても嫌がって怒っていた。
そして思いっきり噛まれた。
押さえている右手の、親指の付け根に、犬歯が深く突き刺さって激痛が走る。
でも穴は小さく、血が少し出る程度だった。
その場で先生に消毒を借りて、ちょんちょんとつけて、カットバンを貼った。
痛いけど、内心嬉しい。
怒ったり噛んだりする元気がある証拠だから。
大丈夫大丈夫、と先生にも痩せ我慢する。
でも、帰宅それから出勤、その間にもどんどん痛みと腫れが増していった。
でも動物実験の上に成り立っている現代医療の恩恵は受けたくない。
ネットで薬草など調べる。
ドクダミをすりつぶして塗ると殺菌効果があるみたいだが、どこに生えているのか、
すぐには手に入らない。
漢方薬局にも行ってみたが、処方箋がないと生薬は出せないと言われる。
せめて、とその場にあった塗り薬を少し塗らせてもらう。
あとは保冷剤で冷やしながら仕事をした。
帰宅。
ヒーローまた大きな声で鳴いている。
元気なのは嬉しいが、鳴き声がすごくて、大丈夫かなと心配になるくらい。
カリカリを食べた形跡あり。
魚系の缶詰しか食べないと思っていたが、開けたてのロイヤルカナンウェットを食べた。
魚以外でも開けたてなら食べるんだな。
主にスープ部分をぺろぺろ。
固形も何個かは食べた。
噛まれた右手、お風呂上りで血行がよくなった時に見たら、
赤く腫れている部分と普通の部分の境目がくっきりしていた。
親指の付け根全体がまるく腫れていて、手首の血管のあたりまで赤みが広がりつつあった。
寝るとき、ヒーローは昨日より少し息がしんどそうに感じた。
鼻息が荒い。
→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」
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→ はじめに… 命を看取るということ
「今から思えば、あの時私は、すべてをきれいに終わらせる事ばかり考えていたんです。」
→ 看護日記(1) 『 不安の1週間 』
「生かすための看護ではなく、看取るための看護って、こんなにむなしいものなんだ」
→ 看護日記(2) 『 苦悩の1週間 』
「もうシリンジを突っ込むのは嫌だ。心が折れそうになる。」
→ 看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
「今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。」
→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」
→ まとめ(仮) (準備中)
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看護日記(3) 『 迷いの1週間 』
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6月15日(金)
朝。
カリカリにまったく口をつけていない。
丸一日くらい何も食べてないんではないだろうか?
他に変わった様子はないので、今朝もミルクを与えず様子を見てみる。
今日帰宅後見ても食べてなかったら、仕方ないので無理にでもミルクを与えよう。
夜、食べていない。
ミルクを与える。
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6月16日(土)
朝は久しぶりにシェルターにお世話に行った。
ヒーローの部屋、完全に片づけられていて、子猫が入っていた。
ヒーローが暮らしていた面影は一切なくなっていた。
さすがに涙が出た。
ヒーローはもう帰ってこれないのかな・・・。
FIPが発覚したときに、もうヒーローとはお別れ、
みたいなメールを皆にしたので仕方がないけど。
それにしてもさみしい。
夕方から病院受診。
ずっと食べていないことを言って、原因を診てもらおうとする。
FIPだからあちらこちら悪くなるのは当然、食欲も悪くなるもの、
といった漠然とした答え。
おしっこが黄色いことを言うと、黄疸が出ているかも、でも確定ではない、とのこと。
ボラ仲間さんからアドバイスをもらったとおり、レントゲンを撮ってもらうよう言ってみる。
・・・何のためにレントゲンを撮るんですか?
と返される。
あきれたような、突き放したような、ひどく冷たい言い方で、グサッときた。
何のため、って・・・ヒーローの体の中が今どうなっているか知りたいからに決まっている。
自宅で強制給餌することの難しさを伝え、
費用をお支払いするので今やってもらえませんか、とお願いしてみるが
診療が立て込んでいる時はできない、と断られる。
凹む。
内心、なにそれ・・・と文句を言いたかった。
ここはもうだめだ。
FIPと診断した時点で、先生の方針では、何をやっても意味がないというかんじなんだろう。
これ以上、この病院に何かを求めるのは無駄だと判断した。
幸い、先生も他の複数の病院に意見を求めたほうがいいと言ってくれている。
「たとえばこの子はがんです、と言われて、はいそうですかと諦められるわけがない。
セカンドオピニオンも、治療方針も含め、複数の病院に聞くのが当然だと思います。(うちではここまでしかできませんというニュアンス)」
元の病院から移ってきて、拠り所だったこの病院にもに見離されて、
気持ちが沈む日だった。
でも、ヒーロー、開けたてのパウチを一口食べた。
それはうれしかった。
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6月17日(日)
ボラ仲間さんに病院でのことを報告メールした。
ヒーローのこと、今後はどうすればいいのか、考えがまとまらなくて戸惑っていた。
またヒーロー食べない。
開けたてじゃないと食べないのかな。
ボラ仲間さんから返信あり。
いちばん親身になってくれるのは、○○動物病院だと言う。
行ってみたいと思う。
もう3軒目だけど、この先あの病院に行きつづけるのは、私の気持ち的にも難しい。
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6月18日(月)
3軒目の病院には水曜日の朝イチで行くことにした。
どんな病院かわからないけど、とにかく行ってみよう。
もし優しい先生なら、いろいろ相談しながら進んでいける。
方向がすこしでも見えてよかった。
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6月19日(火)

夜、コンビニでパウチや缶詰をいろいろ買って帰る。
ヒーローに開けたてを食べさせるためには、多少の無駄も仕方がない。
買ってきた3種類のごはんをヒーローに見せてみる。
反応あり。
にゃーと言う。
缶詰、カップ、パウチのうち、いちばんにゃーが大きかったパウチを開けて、
あげてみる。
食べた。
うれしい。
一度、冷蔵庫に入れたものは口にしないので、今夜あけたパウチは
そのまま部屋に常温で置いておこう。
1日くらい大丈夫だろう。

おしっこは、あれからずっと黄色い。
やはり黄疸だと思う。
目のふちや、眼球、耳の中、鼻、肉球、すべてが黄色くなってきている。
寝る前、ネットで黄疸のことをたくさん調べた。
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6月20日(水)
3軒目の病院受診。
優しい先生。
状態を説明すると、レントゲンと血液検査をしてみましょう、と言ってくれる。
ボラ仲間さんが合流。
ヒーローの現状など、情報交換する。
レントゲンの結果は、胸水が少したまっているけど、30mlくらいなのでまだ大丈夫。
腎臓も少し腫れているけど大丈夫。
問題は血液検査で、明らかに黄疸の数値が出た。
食欲がないのは黄疸のせいだということ。
【6/20 血液検査の結果】
項目 | 今回数値 | 正常範囲 | 増加なら・・・ | 減少なら・・・ |
---|---|---|---|---|
GLU | 116 | 41~153 | 糖尿病・ストレス・クッシング症 | 肝不全・新生児低血糖・過剰な運動・飢餓・インスリノーマ |
BUN | 23 | 12~41 | 腎機能低下・消化管内出血・高たんぱく食・尿路閉塞 | 肝不全・肝硬変・多飲多尿 |
Cre | 1.3 | 0.7~2.5 | 慢性腎不全・筋炎・溶血 | 筋肉減少・妊娠 |
T-bil | 5.0 | <0.4 | 溶血・肝細胞壊死・胆汁鬱滞・胆管炎・肝炎・門派シャント | |
T-chol | 184 | <224 | 食事性・クッシング症・糖尿病・甲状腺機能低下症・胆汁鬱滞 | 肝不全 |
GOT | 65 | <45 | 肝不全・筋炎 | 肝硬変 |
GPT | 17 | <86 | 肝不全・膵炎・創傷・腫瘍 | 肝硬変 |
ALP | <130 | 40~234 | 胆管炎・腫瘍・内分泌疾患・ステロイド投与・ストレス | |
TP | 8.8 | 6.0~9.7 | 脱水・高脂血症・腫瘍 | 消化吸収障害・肝不全・腎不全・飢餓・出血・過剰輸液 |
WBC | 97 | 55~195 | 細菌感染・炎症・腫瘍・白血病・ストレス・ステロイド投与 | ウイルス性疾患・急性細菌感染・中毒 |
RBC | 564 | 550~1000 | 脱水・多血症 | 貧血・中毒 |
HGB | 8.9 | 8~14 | 脱水・多血症 | 貧血・中毒 |
Ht | 24.4 | 24~45 | 脱水・多血症 | 貧血・中毒 |
で、他の症状も合わせて、先生の見立ても、FIP確定。
今回は相手が悪かった、と。
診察室が重苦しい空気になった。
インターフェロンをどうするか。
先生の体感では成功率5%~10%だと言う。
その数字を聞いて私は少し驚いた。思っていたより良い数字だ。
ボラ仲間さんはGOサイン。
私も、インターフェロンを試したいと言った。
あとは、どの病院でも言われたステロイドと抗生剤のセット。
この病院では、それを注射で与えてくれると言う。
自宅でのシリンジ投与が、ヒーローと私自身にも多大なストレスを与えていることを話したからだろう。
栄養入りの点滴通院と、インターフェロンと合わせて、毎日注射してもらうことになった。
それだけでもありがたい。
これで自宅での、あの嫌な時間がなくなる。
毎朝早起きしての通院はしんどいけど、それでもシリンジよりは、ヒーローと私のストレスは軽いと判断した。
今までの病院ではやってくれなかったことをこの病院ではやってくれる。
先生が救世主みたいに見えた。
気になったことがあったら何でも言ってください、
電話でもいいので、
との言葉があたたかく、胸にしみいる。
ちなみに、気になっていた、しっぽも診てもらった。
皮膚炎だということ。
他の病院ではちゃんと診てくれなくて、ただの汚れと判断されたのに。
あの茶色の汚れは、新たに分泌されていってるものらしい。
毛を刈って、塗り薬で治療するほうがいいとか。
ただ今はFIP治療が優先。
本人がストレスを感じていないようなら、しっぽの治療は後回しということになった。
病院からいったん帰宅。
昨夜あけたパウチの続きを与えてみる。
食べた。
とてもうれしい。
開けたてじゃなくても、常温のまま保管なら食べてくれることがわかった。
夜、仕事から帰宅。
玄関を入るとさっそく2Fからヒーローの大きな鳴き声がする。
急いでかけ上がって戸を開けると、顔を上げ私のほうをしっかり見て鳴き続ける。
まるで元気だったころのよう。
少し離れたところから名前を呼んでみると、立ち上がって歩いてきた。
私の足元にぴったりくっついて寝そべる。
シェルター時代を思い出した。
そしてなんと、皿に入れて置いていたカリカリを少し食べた形跡がある。
食欲が出てきている。
丸1日たったパウチの残りはもうさすがに食べないので、新しくねこカップを開けると食いついた。
やはり少ししか食べないが、昨日までより食いつきがいい。
これはインターフェロンが効いているに違いない。
食べるのに飽きてそっぽを向いたあとも、何を求めているのか、ずっと鳴いている。
もっと食べたいけど、それも嫌、どれも嫌、と言いたいのかな。
何が食べたい?ヒーロー。
今日はいい日だ。
うれしい日。
少しでも元気になってくれると、こんなに嬉しいものなのか。
あきらめかけていたけど、インターフェロンを試してよかった。
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6月21日(木)
朝。
昨日開けたねこカップはもう嫌みたい。
新しく黒缶を開けると、少し食べた。
通院。
昨日から今日にかけて、インターフェロンの効果か、ヒーローが元気なおかげで、
注射のとき、とても嫌がって怒っていた。
そして思いっきり噛まれた。
押さえている右手の、親指の付け根に、犬歯が深く突き刺さって激痛が走る。
でも穴は小さく、血が少し出る程度だった。
その場で先生に消毒を借りて、ちょんちょんとつけて、カットバンを貼った。
痛いけど、内心嬉しい。
怒ったり噛んだりする元気がある証拠だから。
大丈夫大丈夫、と先生にも痩せ我慢する。
でも、帰宅それから出勤、その間にもどんどん痛みと腫れが増していった。
でも動物実験の上に成り立っている現代医療の恩恵は受けたくない。
ネットで薬草など調べる。
ドクダミをすりつぶして塗ると殺菌効果があるみたいだが、どこに生えているのか、
すぐには手に入らない。
漢方薬局にも行ってみたが、処方箋がないと生薬は出せないと言われる。
せめて、とその場にあった塗り薬を少し塗らせてもらう。
あとは保冷剤で冷やしながら仕事をした。
帰宅。
ヒーローまた大きな声で鳴いている。
元気なのは嬉しいが、鳴き声がすごくて、大丈夫かなと心配になるくらい。
カリカリを食べた形跡あり。
魚系の缶詰しか食べないと思っていたが、開けたてのロイヤルカナンウェットを食べた。
魚以外でも開けたてなら食べるんだな。
主にスープ部分をぺろぺろ。
固形も何個かは食べた。
噛まれた右手、お風呂上りで血行がよくなった時に見たら、
赤く腫れている部分と普通の部分の境目がくっきりしていた。
親指の付け根全体がまるく腫れていて、手首の血管のあたりまで赤みが広がりつつあった。
寝るとき、ヒーローは昨日より少し息がしんどそうに感じた。
鼻息が荒い。
→ 看護日記(4) 『 最後の1週間、そのあと3日 』
「自分が何をやっているのかわかっていなかった。ただその場その場の判断で動いただけだ。」
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