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ある老犬が教えてくれた現実

2012.01.17 01:32|ボランティア活動
会ったこともない犬がいます。
その犬はもうこの世にはいません。
でも私の心の中にはまだぼんやりとその子がいて、みなさんに自分の存在を知ってほしいと呼びかけているような気がします。
ここにひとつの教訓があります。

日本で犬猫を飼っている多くの人は、その管理意識が低い、ということです。


* * *
昨年の12月、私がボランティアに行き始める前のことです。
岡山市保健所の保護犬のページに、ある老犬が掲載されていました。
首輪とリードがついたまま、犬用の服まで着ている、あきらかに飼い主がいそうな中型雑種の老犬でした。
衰弱しているという記載もあったと思います。

私がよく見ている別のボランティアさんグループのホームページがあるのですが、そこにもその老犬情報が載っていました。
(岡山市保健所から積極的に犬をレスキューされているボランティアさんです。)
保健所に様子を見に行かれたらしく、老犬はすでに弱っていて、立っているのがやっとの状態ということが書いてあり、飼い主探しやレスキューの呼びかけをされていました。
そして数日後、老犬はもう、立つこともご飯も水も受け付けなくなっている、という記載に変わっていました。

私の頭によぎったのは「最期を看取る」という選択肢でした。

うちは猫を2匹飼っていて、犬を引き取るには難しい環境です。
ただこの老犬の一生に、ふと感情移入して思いをめぐらせてしまいました。
飼い主からはぐれてしまったのか、老いて捨てられたのかわからないけれど、服も着せてもらって、それなりにかわいがられて育ってきたのでしょう。
きっと飼い主に頭をなでられたりして、幸せな瞬間もあったことでしょう。
でも、そうやってせっかくこの年まで生きてきたのに、最期はガス処分機の中。
大好きな飼い主のそばで一生を終えることは許されず、冷たい金属の箱の中で窒息するまでもがき苦しみながら、死んでいかなければならない運命が待っている・・・。
老いた物悲しい姿、弱者を切り捨てる社会に、人間の姥(うば)捨て山がよぎりました。

それでも老犬を引き取るところまでは踏み切れず、元の飼い主も現れないまま殺処分の期限がきました。
もうだめだと思いました。

ところが。
ツイッターでもその老犬の情報が拡散されていて、その日私がフォローしているユーザーさんがこんなツイートをされていました。
「今日期限の立つこともご飯も水も受け付けない状態の老犬。数日の命の子。うちでと思い今保健所に連絡してみましたが最期を看取ってくれる方が名乗り出てくれているそうです!ほんとに良かった。ほんとに。」


まず、そのツイートをされた方。
死ぬまでわずかしかないけれど引き取ろうと考えている人が私の他にもいたことに感動しました。
そして実際に名乗り出てくれた方。
その方は1匹の死にゆく老犬を、殺処分という最低最悪の最期から、実際に助け出したのです。
殺処分のことなんて知らない、知ろうともしない人が多い世の中で、そんな心やさしい人が何人もいるなんて・・・。
私は救われた気持ちになりました。

その日私はフェースブックにこのように投稿しました。
「今日は嬉しいことがありました。飼い主に見離された病気の老犬を岡山市保健所から救い出し、最期を看取るという決断をされた方がいるそうです。辛い思いをする覚悟での英断に、拍手と感謝です。」

せめて暖かい場所で息を引き取らせてあげたい、そんな同じ思いの人にもらわれたんだな。
安らかに眠ってほしい。
私はそう願いました。

* * *
でも。お話はここで終わらないんです。
それからほどなく、私はNPOのボランティアに参加することを決め、シェルターに保護された犬猫のお世話に行くようになりました。

最初は気づかなかったんです。
そのシェルターに犬の遺影が置いてあることに。
2回目に行って、その写真の子が「フロンちゃん」と名付けられたことや、保健所からレスキューしてすぐに亡くなってしまったことを聞きました。

そのあと何回も通って同じ話を聞き、ようやく気づきました。
ようやく私の頭の中で糸がつながった瞬間。

そのフロンちゃんが、あの老犬だったのです。

なんという巡り合わせ。
実は、最期を看取るために引き取ってくれたのは、私が参加するそのボランティアグループだったんです。

私はてっきり、一般のご家庭で老犬を引き取ってくださったのだと思いこんでいたので、やはり、動物愛護に興味のない一般の方で老犬の最期を看取るという発想はないのかなあと、少しがっかりした気持ちにもなりました。
でも、民間の方であれ、ボランティアさんであれ、フロンちゃんがガス処分機の中で最期を迎えずにすんだことは本当に良かったです。
それは私の救いでした。
保健所のホームページで写真を見て、引き取るか悩んだ子が、
数週間後、私が自分の意思で参加しようと決めたボランティアさんのシェルター施設にて、遺影という姿ですが再び私の前に現れてくれたのです・・・。

* * *
と、ここまでは偶然の巡り合わせにびっくりした話。
そして本題は実はここからなんです。(長くてすみません)
その後、保健所から連絡があったのか、ボランティアさんの一人からフロンちゃんの飼い主が見つかったと聞きました。
フロンちゃんは捨てられたわけではなかったようでした。
保健所が飼い主さんにフロンちゃんの最期を伝えたかどうかまではわかりません。
どういう経緯で保健所に保護されたのかも詳しくは聞いていませんが、少なくとも探してくれる飼い主さんはいたのです。

ではどうして、飼い主さんにかわいがられていた犬が、保健所で殺処分されかけていたのでしょうか?
それは犬猫を飼っている人のほとんどが、飼い主として動物を管理する意識が低いからなのです。

飼い主さんは、犬がいなくなったと気づいたときに、どのような行動をとったのでしょう。
私は田舎で育ったのでよくわかるのですが、犬がいなくなって本気で探す飼い主さんはあまりいないような気がします。
特に年配の方で多いのが、犬は軒先につないで番犬として飼っていて、家族という意識は少ないというものです。
そして犬は「ちょくちょく放れるもの」と思っています。
首輪がはずれたり、何かの拍子で脱走しては、また帰ってくるもの。
だから数日姿が見えないくらいでは本気で心配しない方が多いと思います。

そして本気で心配になってきたときには、かけがえのないその命はもう、殺処分されてしまっていることが多いのです。
私は毎日、岡山の保健所や愛護センターの保護犬情報をチェックしていますが、保護されている犬のほとんどは飼い主がいる子たちのような気がしてなりません。

保健所は犬猫を殺す場所ではありません。
保健所は公衆衛生のために動物を管理する場所。いい意味でも悪い意味でも、です。
狂犬病を予防するために浮浪犬を捕獲しなければならない決まりになっていますが、すぐに殺処分されるわけではありません。
でも逆に言うと、ほうっておけば殺処分されます。

だから私は声を大にして言いたい。
犬猫がいなくなったらすぐに、保健所に電話してください!!!!!
そのうち帰ってくる、という考えは本当にもうやめてください。

殺処分所の職員さんの気持ちになってみてください・・・
命を殺すということは、生易しいことではありません。
飼い主のいる犬猫=誰も殺したいと望んでいない犬猫を、もう何も殺したくないと望んでいる人が、殺さなければならない滑稽。

もしあなたのお父さんやお母さんや、おじいちゃんやおばあちゃん、
動物管理意識の低い近所のおっちゃんや、犬はそのうち帰ってくると思いこんでいる年配の方がいらっしゃったら、
少しでも多くの方に広めてください。

犬猫がいなくなったらすぐに保健所に電話、です。

* * *
ボランティアさんは、フロンちゃんの飼い主さんに、フロンちゃんの最期をお伝えしたいと思って保健所に連絡しました。
でも個人情報保護の関係で、飼い主さんと連絡を取らせてもらうことはできませんでした。
飼い主さんは今も「いつか帰ってくる」と思って犬を待っているんでしょうか。
それとももう犬の存在など忘れてしまっているでしょうか。

世の中は自分が思っているとおりには動いてくれません。
自分の知らないところで、自分の不本意なように事が運んでいるかもしれない・・・
だからこそ、みなさんには、大切な家族がいなくなった時のことを考えて、アンテナを張って準備したり、正しい知識を身につけてほしいです。

この人間社会では、人間の子供は手厚く保護されるけど、どんなに大切に思っていても愛犬・愛猫はそれほど保護されない。
ということを念頭において、一般価値に惑わされず自分の大切な存在を守ってもらいたいです。

と同時に、もういい加減、私たちの代で、人間以外の命に対しても敬意を払う世界に変えたいと願い、動きます。



--- 追記 1/21 ---
その後の調査で飼い主さんには保健所から連絡していることがわかりました。
老犬が亡くなったこともお伝えし、飼い主さんも納得されているということですので、老犬の詳細情報と写真は削除させていただきました。
入れ違い情報ですみませんでした、そして心温まるお声をくださった方、ありがとうございましたm(__)m




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コメント:

No title

にゃんとら様

おはようございます。

心が温かくなるお話とために成るお話を有難うございます。

この記事を私のブログで紹介させて頂いてもよろしいでしょうか?
後、こちらのブログをリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか?

もちろんです

ぐーパパさん、こんにちは。
記事を紹介していただけるということで、ありがとうございます!
とても励みになります。
リンクはフリーですので、今後もどんどんしてやってくださいm(__)m

はじめまして。。

こんにちわ。 アメリカは西海岸のアニマルレスキューグループで働いてるGumiです。

アメリカでもこうした老犬が迷子で保護されることもあるんですけど、毎回思うのは、なんで? こんな老犬を迷子にさせるの? ってこと。。 もう少し老犬のこと考えてほしいなぁ。。

それも、前なんて老犬の上に、盲目の犬が迷子。。盲目ってわかってるのなら、なんでもう少し気を使わない??  連れてきてくれた方も、この犬はもう少しで車にひかれそうだったなんて。。

こういうアニマルレスキューで働いてるといろいろとドラマもあります。

はじめてなのに、長々とお邪魔してすみません。 

この老犬ちゃん、早く飼い主さんみつかるといいですね。。

コメントありがとうございます

Gumiさんこんにちは。
遠い場所からありがとうございます!
人間は、動物の老いに対して鈍感ですよね。
ちゃんと愛情を持って飼っていれば年をとった愛犬の変化に気づいてあげられるはずなんですが・・・
記事中にも書きました、ふれあいも少なく軒先につなぎっぱなしの日本の番犬文化では、体調の変化にも気づきにくいのでしょう。
記事の老犬は亡くなってしまいましたが、私が通っているシェルターでもう一頭、白内障で認知症の老犬がいます。
犬だって人間と同じように年をとればいろいろ体調が悪くなることを理解して、Gumiさんのおっしゃるように、若い時以上に気をつかってやらなければいけないですよね。
飼い主の意識向上を願うばかりです。
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プロフィール

にゃんとら

Author:にゃんとら
岡山の猫好き。
犬猫を愛護センターや保健所からレスキューするNPO法人の動物愛護ボランティアに参加。シェルターに犬猫のお世話に行きながら、個人ボランティアとしても情報発信しています。
本職はグラフィックデザイナ~。

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